G7伊勢志摩首脳宣言 保健部分3 公衆衛生上の緊急事態への対応強化のための国際保健の枠組みの強化

公衆衛生上の緊急事態への対応強化のためのグローバル・ヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)の強化

 エボラ出血熱の流行が大規模流行となった原因の一部として,関係するステークホルダー間の迅速かつ協調した行動の欠如があったことを認識し,我々は,既存の組織を強化することにより,グローバル・ヘルス・アーキテクチャーの強化を主導することにコミットする。

 我々は,公衆衛生上の緊急事態に対する,より迅速で,効果的かつ協調的な対応を可能にし,また,支援するための,当該アーキテクチャーにおけるWHOの中心的な役割を再確認する。この観点から,我々は,WHO本部,地域事務局及び国別事務所の3つのレベルを通じて「One WHO」アプローチをとることを含め,適時に,及びその必要な資源を認識しつつ,WHOが緊急及び広範な改革を実施することを強く求め,かつ,支持する。我々はまた,公衆衛生上の緊急事態に対する適切な対応を確保するため,十分な,責任ある,かつ,適時の資金拠出が極めて重要であることを強調する。この関連で,我々は,国際社会に対し,WHOによる迅速な初動対応を可能にするため,緊急対応基金(CFE)を支援することを要請する。さらに,各国政府,多国間機関及びNGOによる緊急対応を支援するため,我々は,パンデミック緊急ファシリティ(PEF)の立上げに関する世界銀行による公式発表を歓迎するとともに,G7メンバー国を含む国際社会に対し,この目的のために技術的及び資金的な貢献を行うことを招請する。我々は,また,関連する国際機関に対し,PEFと,CFEを含む他の関連する資金調達メカニズムとの間の調整を確保することを求める。

 

 我々は,特に感染症におけるWHOの中心的役割並びに感染症の流行が小規模から大規模に発展し,公衆衛生上の緊急事態に至るまでの期間全体を通じて,WHOが,特に国際連合人道問題調整事務所(OCHA)のような既存の調整機構を活用しながら,継続性があり,予測可能で,迅速かつ効率的な対応の必要性を考慮し,大規模な感染症の流行や公衆衛生上の緊急事態において関係するパートナー間の調整を主導する取組を加速していることにつき,賞賛する。我々は,WHO及びOCHAに対し,国連事務総長(UNSG)の下で,WHO,国連及び他の関係するパートナー間における連携のためのアレンジメントを検証し,強化し,及び公式化すること並びにG7保健大臣に対してその進捗について9月に報告することを招請する。

 

 エボラ出血熱及びジカウイルス感染症の最近の流行は,自然発生的,故意的又は偶発的なものであるかどうかを問わず,公衆衛生上の緊急事態の予防,検知及び対応を向上させることが不可欠であることを浮き彫りにしている。その観点から,我々は,世界健康安全保障アジェンダ(GHSA)を通じて行うことを含め,WHOのIHR目標の遵守を進展させることに引き続きコミットしている。

 

 我々は,76の国及び地域に対し具体的な支援を提供するための協調的なアプローチに対する我々の支援並びにWHO及び他の関連する機関との緊密な協調に基づき,国家計画策定に関するこれらのパートナーへの支援を新たにする。我々は,各国のIHRコア能力の強化についての主要な責任は各国にあることを認識しつつ,これらのパートナーが,国連食糧農業機関(FAO)や国際獣疫事務局(OIE)などの他の機関とのパートナーシップにより,WHOによって発表され合同外部評価(JEE)の共通で測定可能な目標を達成するよう支援することを意図する。我々は,また,そのような評価を我々のパートナーと共有し,支援し,及び行うことにコミットする。IHRの実施を強化するため,及び,新健康危機プログラムの実施に即して,我々は,WHOに対し,国際危機管理能力・警戒・対処部門及びそのリヨン事務所などの既存の組織並びに「世界健康安全保障の国別評価のためのアライアンス」による新たな取組を基礎とすることを奨励する。我々は,パンデミックに対する備え及びその予防を強化するために,関連する国際機関の資金を動員することの重要性を認識し,国際開発協会など,世界銀行を含むそれらの機関との間でこの問題について協議することを期待する。