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【スーパーラグビー観戦記】 お楽しみはまだまだ、これからだ

 いよいよスーパーラグビーが開幕しましたね(えっ、ニュースとしてはちょっと古い? まあ、そう言わず・・・)。私も初戦ライオンズ戦の取材を堂々、敢行しました。その報告です。

 2月27日 ライオンズ 26 – 13 サンウルブズ

 いいところまで行ったんだけど、残念。その観戦記が本日(3月15日)付のビジネスアイ紙に掲載されました。

 http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/160315/cpd1603150500001-n1.htm

以下に再掲しますので、お読みいただければ幸いです。

(注:サンウルブズはその間にシンガポールで第2戦に臨んでいます。

3月12日 チーターズ 32 – 31 サンウルブズ

   1点差、ますます惜しい。原稿の末尾を少しだけ、大慌てで差し替えました)

 

 

【スーパーラグビー観戦記】 お楽しみはまだまだ、これからだ

 

 日差しはもう春とはいえ、スタンドを吹き抜ける風はひどく冷たい。まだ2月だからなあ…と半ばぼやきつつ、左右に広がる観客席を見る。どちらも満席だ。

 グラウンドではチアリーダーが赤いタオルを広げ両手で掲げる。トライをしたらタオルをぐるぐる回してください。試合前の応援指導ですね。はい、それでは練習…。スタンドに赤いタオルの線が何本も走る。あれ? 白い破線も走っているぞ。よく見るとそれは観客席のマスクの列だった。

                   ■

 まだ冬の寒さが残る2月27日午後、東京・秩父宮ラグビー場でスーパーラグビーの日本参戦第1戦、サンウルブズ-ライオンズ戦が行われた。ラグビー界の最強リーグであるスーパーラグビーは、2~7月に参加18チームが4カンファレンスに分かれ、各15試合を戦う。昨年まではニュージーランド、オーストラリア、南アフリカに本拠を置く15のクラブチームによるリーグだった。それが今年から18チーム制に移行し、日本とアルゼンチンからも各1チームが参入した。その日本からの参入チームがサンウルブズである。

 アルゼンチンを含む他の4カ国は昨年秋のラグビー・ワールドカップ(W杯)イングランド大会で4強に残った強豪国。日本代表はそのW杯で南アに劇的勝利を挙げるなど3勝1敗の大健闘だったが、決勝トーナメント(8強)には残れなかった。正直に言って、実力の差はまだ、あまりにも大きい。

 だが、次の2019年W杯開催国である日本としては、その差を3年半で埋め、「戦い方によっては勝負は分からない」と常に警戒されるぐらいの力はつけておきたい。スーパーラグビー参戦はその布石でもある。

 もちろん、日本代表とサンウルブズは別のチームである。だが、最強リーグでの試合を通し、世界に伍(ご)して戦える選手を増やし、さらにチームとして戦えるだけの経験値も高めていく。そんな狙いがある。

 チームに所属するのは日本選手だけではない。例えばスタンドオフのトゥシ・ピシ選手はサモア代表として昨年のW杯では日本と対戦した。逆に海外チームに所属する五郎丸歩選手のような例もある。

 そうしたことも含め、今季スーパーラグビーの開幕戦が19年W杯の出発点になる。ここで大敗したのでは日本ラグビーの前途は暗い。昨年のW杯以降のラグビー人気も一気にしぼんでしまう。そんな不安と緊張感も交じりつつ試合は始まった。

 前半は12-6でライオンズがリード。後半開始直後にもトライを許して19-6と点差を広げられ、さらに自陣ゴール前の中央付近で反則を取られる。PGを狙えば確実に3点の場面で、ライオンズはあえてスクラムを選択した。サンウルブズのスクラムは前半、総崩れになるほど押されていた。ライオンズとしては、ここで一気に力の差を見せつけようという作戦だろう。

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 個人的なことで恐縮だが、私は秩父宮ラグビー場で観戦するときにはいつも、ゴール裏の立見席を選ぶ。ラインの動きがよく分かるのと、ずっと日なたで冬でも暖かいからだ。そんな物好きは少ないので、普段はがらがらなのだが、さすがに27日は立見席も超満員だった。

 その目の前でサンウルブズがゴールを背にしたスクラム。苦しい。絶体絶命。立見席からも「頑張れ」と悲鳴のような声がかかる。もう目力でスクラムのお尻を押さんばかりの大声援。それに応え、ぐっとパックを締めて小さく組んだスクラムは巨漢の圧力に耐え、なんと、しばらくすると逆に相手を押し戻し始めたではないか。ライオンズFW陣がたまらずに崩れて反則。これはすごいぞ。試合の中で日本ラグビーの進化を目の当たりにするような感動である。

 窮地を脱したサンウルブズは堀江翔太キャプテンのトライで13-19に追い上げる。試合は結果的に13-26で敗れたものの、応援団としては、ここですんなり1勝するより、ほろ苦いスタートの方がむしろよかったとも思う。選手たちは少なくともスーパーラグビーで戦えるという手応えはつかんだ。それでも勝ち切るにはまだまだ進化しなければならない。シンガポールに舞台を移した3月12日の第2戦は1点差の惜敗。初勝利は次のお楽しみに残しておこう。