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【ジカ熱大流行】 蚊の駆除対策に支援急げ

 世界保健機関(WHO)の緊急事態宣言を受けた本日(3日)付の産経新聞主張(社説)です。正直なところ国内では、インフルエンザの流行期に蚊が媒介する感染症と言われてもといった感覚は残ります。遠い他国の、しかも季節が逆転した地域の流行に対しても、いまは関係ないからとばかり言っていられないのがグローバル化した世界の現実でもあります。禍福はあざなえる縄のごとしといいますか、1年半前のデング熱を巡る経験を教訓として活かすべき機会なのかもしれません。


【ジカ熱大流行】 蚊の駆除対策に支援急げ

 中南米を中心に大流行するジカ熱に対し、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
 ブラジルでは流行地域で新生児の小頭症が増加しており、科学的な証拠はないもののジカ熱との関連が「強く疑われる」と指摘されている。
 ジカ熱はデング熱などと同じように蚊が媒介する感染症だ。日本でも、夏場の蚊が増える季節に感染症例が報告されれば、一気に社会的な不安が広がりかねない。
 8月にはリオデジャネイロ五輪が開かれ、日本からブラジルを訪れる人も増える。地球の裏側の出来事などと考えずに、各国と情報を共有し、流行地での蚊の駆除対策などを支援して感染拡大を抑える努力に加わることが必要だ。
 ジカ熱の症例は昨年5月以降、ブラジルをはじめ中南米の20以上の国と地域で確認されている。少数だが、すでに米国や欧州諸国でも報告されており、北半球が夏を迎えれば流行が地球規模で広がる恐れもある。
 病原体のジカウイルスは1947年にウガンダアカゲザルから発見され、ジカ熱自体はこれまでにもアフリカやアジアで流行している。ただし、今回ほど急激に感染が拡大したことはない。
 さらに、今回は流行地域で感染した妊婦から生まれた赤ちゃんに発達の遅れなどの可能性がある小頭症が多く報告され、妊娠した女性を不安に陥れている。
ウイルスを媒介するのは、ネッタイシマカやヒトスジシマカで、1年半前に国内で流行したデング熱のウイルスの媒介蚊と同じである。日本ではいま、流行地で感染して帰国する人がいたとしても、冬場に感染が広がるリスクは低い。発熱や頭痛などの症状も比較的軽く、感染しても症状が表れないことも多い。
 だが、夏場になれば話は別だ。南半球のリオデジャネイロでは8月は冬だが、それでも最高気温は平均25度前後だという。日本から多数の人が訪れる五輪期間前後も蚊は活発に動ける環境にある。
 WHOの宣言を受け、政府も水際対策の強化などを打ち出しているが、重症化しない人が多い感染症の水際での阻止は難しい。
 国内では、デング熱対策も含め、いまから蚊を増やさない小まめな努力を怠らないことが当面の最も現実的な対応策だろう。