祝・琴奨菊関ではありますが、ラグビーも熱いぞ(妄想的大幅改訂版)

 1月24日・日曜夜の話題はきっとどこでも、大相撲の琴奨菊優勝で持ちきりなのでしょうね。そりゃあ、そうだわなと思いつつ、おじさんとしては、こちらも話題にしてほしいとささやかに思う。猛寒波を吹き飛ばす熱戦でした。

 ラグビートップリーグ リクシルカップ決勝
  パナソニック 27 - 26 東芝

 1点差。しかも東芝は最後の最後に自陣スクラムからつなぎにつないでトライ。ゴールが決まれば大逆転というところまで追い上げましたが、FBステインのゴールキックが外れました。残念。
 最後に冷やっとしたもののパナソニックの3連覇は立派。SH田中史朗のゲームメークが光った印象です。W杯の体験が自信になって階段を一段あがったか。
 試合全体で見てもパナソニックの方が優勢だったように思います。ただし、スコアは終盤に大きく動くことがよくあるので、その勢いというか、流れというのは恐いですね・・・ということを再認識する試合でもありました。
 トップリーグのサイトの試合記録を見ると、観客は2万4557人。私は寒さに弱いもので、BSのテレビ観戦でしたが、その画面で見た感じでは、スタンドはびっしり埋まっていました。思えばW杯終了後の大きな期待を担っていた昨秋のトップリーグ開幕戦は、協会の不手際で空席だらけでしたが、ラグビー人気はそれに水を差されることもなく盛り上がっています。 

miyatak.hatenablog.com

 この盛り上がりも選手たちのがんばりがあればこそでしょう。ただし、それと同時に流行り物にはすぐ飛びつきたがり、しばしの間は(あくまでほんのしばしの間ではありますが)、話題をつなぎたがるマスメディアの性(さが)といいますか、飛び出すな車は急には止まらないといいますか、そういったものも今のところはラグビー界にとってプラスに作用しています。

 そうやって考えると、五郎丸ポーズで引っ張ってきたポストW杯人気が、琴バウアーの台頭で脅かされる。そんな懸念もないわけではありません。後世の日本ラグビー研究者から「あの1.24が運命を分けた」だとか、「パナソニック東芝1点差の名勝負こそが日本ラグビー最後の輝きだった」だとかともっともらしく語られる・・・ようにならないように、ここはぐっと踏みこたえたいですね。ゴールキック、外れろ外れろなどと願っている場合ではありません。ラグビージャージとおじさん層は意外にヨコシマが多いなどと冗談を言っている場合でもありませんよ。
 あくまで自助努力、つまりグラウンド上では名勝負、好試合、そしてグラウンドの外でのグッド・マネージメント、この両輪で、なんとか今の勢いを2月から始まるサンウルブスのスーパーラグビー参戦につなげていきたいですね。

 マネージメント・・・日本語で適訳が見つからずカタカナにしていますが、ラグビーをスポーツビジネスとしても成立させるようなもろもろの努力とでもいいましょうか。この点も軽視すべきではありません。

 ながくアマチュアリズムを信奉してきた世界のラグビー界も、1980年代後半から大きな変化を遂げてきました。偶然なのか必然なのかはわかりませんが、時期的には冷戦構造の崩壊期がラグビー界の自己変革の時期にも重なりました。南アの国際社会復帰なども考えると、個人的にはある程度の必然性があったのではないかと思います。少なくとも無関係ではなかったでしょう。

 世界の変化にラグビー界も影響を受けた。ということは、ひょっとすると、ラグビーは世界の変化のマーカーということにもなるんじゃないの。つ・ま・り、ラグビー界の変化を見ていけば、国際社会がこれからどう変わっていき、そのなかで日本はどうなっていくのかということが把握できるかもしれない。少なくともそのヒントぐらいは得られそうだ。たとえば、W杯におけるジャパンの南ア戦勝利。大きな歴史の中でこれは何を意味するのか・・・自分で勝手に書いておいて、さあ、エラいことになったぞというような気分にだんだんなってきました。

 日本は冷戦後の世界の秩序形成の中では出遅れ感がありましたが、いまは冷戦後構造の変容期というか、時代の曲がり角というか、そんな時期であります。この変化を好機として生かせるのか、それともまたまた舵取りを誤っちゃうのか。世界と日本の縮図みたいで、ますますラグビーから目が離せないぞ。目を離しちゃダメでしょ・・・みたいな気分が世の中に蔓延してくるといいんだけど、さすがにこれは、ちょっとムチャぶりかな。