『エイズ終結の高速軌道を進もう』 UNAIDS世界エイズデー2015キャンペーン エイズと社会ウェブ版199

 

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに2015年の世界エイズデー(12月1日)のキャンペーンページが開設されました。

 

 最初の部分には以下のようなメッセージが掲げられています。

    On the Fast-Track to end AIDS

     We have what it takes to break the AIDS epidemic.

 

エイズ終結の高速軌道を進もう

 私たちにはエイズの流行を克服する手段がある』

 

 また、9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の一部として「エイズ流行終結」という目標を位置づける視点も強調されています。

 

 『2030年に向けた持続可能な開発目標は、世界変革におけるさまざまな分野の相互の関係と複雑さを反映し、世界が協力して行動することを求めている』

 

 つまり、エイズ対策だけしっかりやるなどということはあり得ないし、そもそもそんなことを言っていたのでは「あっ、そう。お好きなようにどうぞ」と置き去りにされてしまいかねません。「だれも置き去りにしない」というのは最近の国連のお好みのフレーズですが、そもそも国連というところは、お人好しの集まりというわけではないので、この点は認識しておく必要があります。言っていることと、やることはまったく異なり、うっかりしていると、あっさり置き去りにされてしまうなどということも日常茶飯事・・・とまではいいませんが、時々あります。ここはエイズ対策もSDGsというバスにきちんと乗り込んでおかなければならない。これはまあ、基本でしょうね。

 

 そのうえで、2030年の大目標の実現には、最初の5年間(つまり2016~2020年)が勝負ですよという従来からのファーストトラック理論メッセージを繰り返しています。開発をめぐる国際社会の大きな枠組みは15年単位で押さえ、他の分野との相互関係や協力関係を重視する姿勢を示す。さらに課題別には「いまこそ」「いまこそ」と5年刻みで当面の危機感を確認していく。ま、ありがちな手法ではありますが、これが王道なのでしょうね。

 

 一応、UNAIDSの世界エイズデー2015キャンペーンのページに掲載されているメッセージを以下に日本語仮訳で紹介します。UNAIDSもかなりせこいと思うのですが、今回は「エイズ流行終結」を強調する際に「公衆衛生上の脅威としての」といった限定条件はなにもつけていません。強めのメッセージを出したいときには、平気で「流行終結」と言い切ってはばからない。そういうせこさも含めて読み取るというのは無理かも知れませんが、読み取ってください。

 enable countries to move towards the elimination phase(各国が制圧レベルの対策へと移行する)

 といったあたりにそれらしきニュアンスが込められているといえば、込められているのですが・・・。ポストカード、ポスターなどのキャンペーン素材もいろいろと用意されているので、ご関心がお有りの方はUNAIDSのサイトでご覧下さい。

 http://www.unaids.org/wad2015/

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エイズ終結の高速軌道を進もう

 私たちにはエイズの流行を克服する手段がある

 

 すでに1500万人ものHIV陽性者が生命を救う治療を受けている。年間の新規HIV感染は2000年より35%も減少し、エイズ関連の年間死者数は最も多かった2004年当時より42%も減っている。

 

 持続可能な開発目標の一部として、2030年までにエイズの流行を終結させるには、投資を増やし、しっかりと約束を実行し、革新的な方法を工夫採用していかなければならない。

 

高速アプローチ

 

・先行投資を行う

・最も影響の大きい地域、集団、プログラムに焦点を当てる

・最も支援を必要としている人のためになる方法を工夫する

・的を絞り、持続可能で、説明責任を果たせる対策を進めていくため地元の指導者を巻き込む

・新たなパートナーシップを生み出す

・人権をしっかりと守る

・だれも置き去りにしない結果を残す

 

 高速対応は世界中の何百万という人の生命を救うことになる。この流行に打ち勝つために、私たちが生かせるチャンスは、これからのわずか5年間しかない。

 

 この世界エイズデーを機に、エイズ終結の高速対応に加わってください。

 

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持続可能な開発目標の一部としてのエイズ流行終結

 2030年に向けた持続可能な開発目標は、世界変革におけるさまざまな分野の相互の関係と複雑さを反映し、世界が協力して行動することを求めている。

 

「だれも置き去りにすることなくエイズの流行を終結させることは、世界中の何百万という人の生命を救い、次の世代に引き継ぐことになります」

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)、ミシェル・シディベ事務局長

 

高速対応マップ

 世界が2030年までにエイズの流行を終結させるには、2020年までに大急ぎで対策の成果をあげなければならない。基本的なHIV予防と治療の普及ペースを速めることで、流行をより管理可能なレベルに持ち込み、各国が制圧レベルの対策へと移行することができるようになる。

 

 2020年までの5年間への先行投資を行うことで、2030年までの新規HIV感染は89%、エイズ関連の死者は81%も減らすことができる。

 

 

 

On the Fast-Track to end AIDS

 

We have what it takes to break the AIDS epidemic.

 

Already 15 million people are accessing life-saving HIV treatment. New HIV infections have been reduced by 35% since 2000 and AIDS-related deaths have been reduced by 42% since the peak in 2004.

 

To end the AIDS epidemic by 2030 as part of the Sustainable Development Goals will require investment, commitment and innovation to be accelerated.

 

 

The Fast-Track approach:

 

   Front-loads investments.

   Focuses on the locations, populations and programmes that deliver the greatest impact.

   Catalyses innovation for people who need it most.

   Engages local leadership for targeted, sustained and accountable responses.

   Creates new partnerships.

   Stands firm on human rights.

   Delivers results that leave no one behind.

 

Fast-Track will change the lives of millions of people around the world. We have a fragile window of opportunity—just five short years to break the epidemic.

 

On this World AIDS Day, join us on the Fast-Track to end AIDS.

 

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Ending the AIDS epidemic as part of the Sustainable Development Goals

 

The 2030 Agenda for Sustainable Development reflects the interdependence and complexity of a changing world and the imperative for global collective action.

 

"Ending the AIDS epidemic and leaving no one behind in the response will profoundly affect the lives of millions of people around the world, for generations to come."

Michel Sidibé

UNAIDS Executive Director

 

The Fast-Track map

If the world is to end the AIDS epidemic by 2030, rapid progress must be made by 2020. Quickening the pace for essential HIV prevention and treatment approaches will limit the epidemic to more manageable levels and enable countries to move towards the elimination phase.

 

Front-loading investments in the fragile five-year window up to 2020 could reduce new HIV infections by 89% and AIDS-related deaths by 81% by 2030.