【鎌倉海びより】115 露店でにぎわう「お十夜」の境内

 ちょっと遅れました。【鎌倉海びより】の115回目です。「お十夜」を過ぎると、夜がぐっと冷えてきますね。

【鎌倉海びより】115 露店でにぎわう「お十夜」の境内
 http://www.sankeibiz.jp/express/news/151027/exg1510271000002-n1.htm

 鎌倉で最も秋の夜にふさわしい行事といえば、材木座の海岸に近い浄土宗大本山光明寺の「お十夜」だろう。

 後土御門天皇が1495(明応4)年、戦火に追われる人々の姿に心を痛め、平和な日が来ることを願って光明寺に十夜法要を行う勅許を出した。

 かつてはその名の通り十日十夜、念仏を唱えたそうだが、今は毎年10月12日から15日まで4日間の法要だ。そして、その真ん中の13日と14日の2日間、境内には夜店がずらっと並び、たくさんの人が秋の夜のお参りに訪れる。

 境内の入り口付近から山門を経て本堂の前あたりまで、200メートルはあるだろうか。その間、参道は夜店と人の列だ=写真。

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 しかも、それだけでは収まりきらず、普段は広大な駐車場スペースとなっている空間にも、昔懐かしい射的や輪投げの店が並ぶ。アナログ娯楽の極致というか、昭和レトロというか。おじさん層の琴線にはかなり触れまくる光景だが、なんと、スマホでゲームには慣れっこの子供たちにもけっこう人気を集めているではないか。

 夜店恐るべし。これなら世代間の対話も…ちょっと苦しいか。

 お好み焼きや焼きそば、たこ焼き、ベビーカステラといった定番系だけでなく、つくだ煮屋さん、ざるや包丁を売る店など、いったい何軒あるのか。数え損なったが、100軒は下らないだろう。

 夜店の列を抜け、靴を脱いで本堂に上がると、参道の雑踏とは対照的に厳粛な雰囲気に包まれる。身が引き締まったのは、秋の冷たい夜風のせいだけではあるまい。

 月並みな感想ではあるが、聖と俗との鮮やかなコントラストというか、夜店の雑踏を背にすると、その分だけ粛然とした思いもまた、強くなる。