ラグビーW杯 変化に挑む勇気を持とう

 ラグビー日本代表が昨日、帰国しました。昨夜からもうテレビで引っ張りだこですね。露出の機会が増えるのはファンとしても嬉しいかぎり。ということで、こちらもささやかに・・・。本日(10月14日)付産経新聞の主張(社説)です。

  http://www.sankei.com/column/news/151014/clm1510140002-n1.html

 

ラグビーW杯 変化に挑む勇気を持とう

 ラグビーW杯で3勝をあげた日本代表が英国から帰国した。初戦で優勝候補の南アフリカを破るなど目覚ましい活躍だったが、わずかな勝ち点の差で目標の決勝ラウンド進出は逃した。

 1次リーグ敗退は残念ではあるが、過去7大会で1勝21敗2分けだったチームが今大会は3勝1敗である。W杯史上、3勝して決勝ラウンドに進めなかったのは今回の日本が初めてだという。これもまた勲章と言うべきだろう。

 8強入りこそならなかったものの、大会で最も印象に残るチームになるというもう一つの目標は実現できたのではないか。

 英紙はこぞって「今大会最大の遺産」「最も不運で恐らく最も勇敢なチーム」と日本への賛辞を惜しまなかった。

 国内でも低迷気味だったラグビー人気が一気に盛り上がった。小さな子供までゴールを狙う五郎丸歩選手のポーズをまねする。「ルールは分からないけれど面白い」と興奮するファンは、性別も年齢層も超えて広がっていった。

 2019年W杯開催国として日本ラグビー界が最も期待していたのがこの盛り上がりだろう。大会前には19年開催国を見直すべきだとする議論も国際的にくすぶっていた。観客動員が望めないという理由からだ。そんな懐疑論もチームの活躍が吹き飛ばした。

 日本の活躍はヘッドコーチ、エディー・ジョーンズ氏の指導力に負うところが大きい。「ジャパンウエー」を掲げ、猛練習にもさまざまな工夫を取り入れた。低く突き刺すようなタックルを実現させるために総合格闘家をコーチに招くこともあった。人気の的の五郎丸ポーズは、メンタルトレーナーとの共同作業で生まれた。

そのジョーンズHCは大会終了後、南アのプロチームに移るため日本から去る。続投を望む声も強かっただけに残念だ。

 ジョーンズ氏は1年前、日本記者クラブの会見で、長く低迷が続く日本ラグビーについて「この30年で世界のラグビーは大きく変わっているのに、日本は世界で最もオーソドックス(伝統的)なままでイノベーション(新機軸)がなかった」と語った。

 そっくり日本社会にも当てはまりそうな指摘である。日本代表もまた、変化に果敢に挑む新しい指導者を選び、19年に向けてさらに進化を続けてほしい。