【鎌倉海びより】110 海まもる鳩と龍

 灼熱の記者会見の際にも感想を少し書きましたが、火曜日(18日)のSANKEI EXPRESSに掲載された連載コラム【鎌倉海びより】です。


【鎌倉海びより】110 海まもる鳩と龍
 http://www.sankeibiz.jp/express/news/150818/exg1508181000001-n1.htm

 たまの休日。お昼は天ぷらでもと小町通に繰り出した。鎌倉駅から海水浴場へと向かう人たちとは逆コースになるので、人の波を縫うように若宮大路を北上する。

 海水浴期間中はどうしても雰囲気がざわつく。それが嫌だという人もいる。だが、浮輪を肩にかけたり、ビーチボールを抱えたりしながら海に向かう人たちの表情は日の光と同じように輝き、楽しそうだ。

 夏だ、海だ、青春だ(古いね)と興奮のあまり羽目を外し、周囲に迷惑をかけるようでは困るものの、この浮き立つような夏の海水浴文化自体は大事にしたい。

 似たような感覚を持つ人は意外に多いのか、由比ケ浜と材木座の海岸を分けて海に注ぐ滑川の河口にはこの夏、「まもり鳩」の巨大な砂像が登場した=写真。

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 鎌倉の海水浴場のマスコットである「まもり鳩」が龍の背中に乗った砂像は高さ3.3メートル。ご覧のように、市内の仏像彫刻家の手になる素晴らしい作品だ。

 鎌倉でさまざまな企画に取り組むカマコンバレー有限責任事業組合の有志が、「安心して誰もが楽しめる海水浴場にしたい」という海の家関係者の願いに共鳴して制作委員会を編成。海岸の砂像は風波を受け崩れやすいので、ひと夏に2回、制作されている。写真はその2代目。8月9日には、鎌倉の5寺院のお坊さん8人による開眼法要が執り行われるなど、「誰もが安心して楽しめる海水浴場」への願いは次々に波及効果を生み出してもいる。

 あくまで個人的な感想ではあるが、一昨年から急速に悪化が指摘されてきた海水浴客のマナーも、今年はかなり良くなってきた。そして、そのせいでもあるのか、砂像の方も、2代目の「まもり鳩」を乗せた龍の表情は、初代に比べ、かなり柔和になっている印象だ。