【鎌倉海びより】101 逃げたはずの2月が…

 ♪4月になれば、彼女が来るだろう~という歌もあったように思うけれど、どうなってるんだろうねえ、今年は。以下、本日のSANKEI EXPRESSに掲載されたコラムです。



【鎌倉海びより】101 逃げたはずの2月が…

http://www.sankeibiz.jp/express/news/150414/exg1504141130001-n1.htm


 長かった冬が明けて一気に桜が開いたかと思うと、あわただしく散っていった。2月は逃げ、3月は去る。4月は何と言うのだろうか。

 花に嵐のたとえの通り、4月第一週の金曜日と土曜日は、鎌倉にも強い風が吹いていた。せっかく開いた花びらがはらはらと散っていく。翌5日の日曜日、鎌倉は霧雨の一日となった。それでも市街地は花を見に訪れる人でにぎわう。段葛(だんかずら)が工事中なのは残念だったが、待ちに待った春の印象が今年はひときわ強い。

 海辺はまだ風が肌寒く、由比ガ浜の浜辺から材木座海岸越しに眺める逗子マリーナは、霧のためにかすんでいる。ヤシ並木もかすかにしか見えない。それでも…。

 沖に目を転じると、遠浅の砂浜に向かって、海の波が階段状に寄せていた。その波のうねりに誘われて、たくさんのサーファーが繰り出している=写真。

 

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 2015年も4月10日で100日。ワカメを干す風景は砂浜から姿を消し、3月11日のシラス漁解禁にあわせて、町の食堂では人気メニューの生シラス丼が復活している。春の味覚、そして視覚。サクラ、カイドウ、シャガ、ショカッサイ…色とりどりの春の花がお寺や神社の境内を彩る。

 季節は変わり始めると速い。そうか、あんなにいとわしく思っていた冬も、こうなるとどこかなごり惜しい…などと思っていたら、98日目の4月8日は最高気温が10度を大きく下回り、氷雨に震え上がる真冬の一日となった。

 3月はもう、とっくの昔に去っているのに、逃げたはずの2月がまだ、未練がましく残っている。たまりませんね、これは。あわてて冬の上着を引っ張り出してきたものの、こう変化が激しくてはまたまた、風邪をひきそうだ。