4343 【 鎌倉海びより】84 ぼんぼりの明かり涼しく

 

 ぼんぼり祭からもう2週間もたっているけれど、案の定、暑いですね。遅くなりましたが、19日(火)のSANKEI EXPRESS紙に掲載されたコラム【鎌倉海びより】の84回目です。 

 

 

【鎌倉海びより】84 ぼんぼりの明かり涼しく

 http://www.sankeibiz.jp/express/news/140819/exg1408190835002-n1.htm

 

 のろのろと台風11号が日本列島に接近する中で、鶴岡八幡宮のぼんぼり祭が開かれた。8月6日から9日まで、お天気とにらめっこしながらの4日間だったが、境内には大小約400基のぼんぼりがずらっと並び、夕方になるとひとつひとつ、ろうそくの灯がともされていった=写真。

 

 

 

 ぼんぼり祭は1938(昭和13)年に始まり、今年で76回目。130年の歴史を持つ鎌倉の海水浴場はかつて、いま以上にたくさんの人でにぎわっていた。「少しでも多くの人が境内を訪れ、鎌倉の文化に親しんでもらえるように」と鶴岡八幡宮が主催し、当時の鎌倉ペンクラブ(久米正雄会長)や鎌倉在住の名士が協力したという。

 

 その文化的伝統はいまも引き継がれ、鎌倉にゆかりの著名人が揮毫(きごう)した書画がぼんぼりに仕立てられている。作家や詩人、画家、政治家などのほか、人気タレントや芸能人のぼんぼりも少なくない。

 

 お目当てのぼんぼりを探しながら歩く。それも楽しみのひとつだ。竹中直人さんはNHK大河ドラマの秀吉役の自画像。昨年は△と□と○で人生を描いた詩人の加島祥造さんは「求めない その自分を受けいれる…」と今年もまた味わい深い。ぼんぼり観賞のベテランになると、夕闇の中でぼんぼりの柱に貼られた名前を確かめるために懐中電灯持参でやってくる。

 

 ぼんぼり祭の開催期間は、毎年立秋の前日から鎌倉幕府三代将軍・源実朝の誕生日である8月9日までなので、暦の関係で3日間の年と4日間の年がある。今年は4日間だったので、お天気に気をもむ期間もそれだけ長かったが、幸いにして最後まで雨は持ちこたえた。

 

 ぼんぼり祭が終わると、さあ涼しくなるぞ…とついつい期待してしまうが、今年もまた残暑は厳しそうだ。