4317 「HIV感染のリスクが最も高い人たちが必要な保健サービスを得られていない」


 WHOが発表した「キーポピュレーションのHIV予防、診断、治療、ケアに向けた統合ガイドライン」のプレスレリース日本語仮訳をHATプロジェクトのブログに掲載しました。(解説)部分を再掲します。日本語仮訳は以下のurlで。
http://asajp.at.webry.info/201407/article_4.html

(解説)特定の行為のために、HIVの感染の高いリスクにさらされやすいグループは、キーポピュレーションと呼ばれています。HIV感染の流行を左右する集団、あるいはHIV対策の成否の鍵を握る集団といった意味合いでしょうか。療法の意味がキーには含まれているように思うのですが、そのあたりをうまく表現できる日本語が見つからないので、ここではそのままキーポピュレーションと呼んでおきましょう。
 世界保健機関(WHO)が新たに発表した「キーポピュレーションのHIV予防、診断、治療、ケアに向けた統合ガイドライン」では以下の5グループがキーポピュレーションとされています。

 男性とセックスをする男性
 受刑者
 注射薬物使用者
 セックスワーカー
 トランスジェンダーの人

 このうちトランスジェンダーの人は、今回のガイドラインで初めて、キーポピュレーションとして位置づけられています。また、男性と性行為をする男性で、HIVに感染していない人を対象に、曝露前予防(PrEP)が予防策の選択肢として示されたことも、今回のガイドラインの新たな判断として強調されています。
 ただし、WHOのプレスレリースによると《今回のガイドラインでWHOは初めて、男性とセックスをする男性に対し、コンドーム使用に加え、抗レトロウイルス薬の服用をHIV感染予防の追加的手段として考えること(曝露前予防:注2)を強く勧告している》ということで、コンドーム使用を中心としたセーファーセックスの重要性は性感染予防の大前提として依然として強調されています。そのうえでの追加的手段ということですね。
 プレスリリースの日本語仮訳です。報道などでは、PrEPが話題になって(日本国内ではそれすらもあまり話題になっていないけれど、まあとにかく)見過ごされがちですが、タイトルにもある「HIV感染のリスクが最も高い人たちが必要な保健サービスを得られていない」という点、そして、現状を打開して行くには、法的、社会的対応の重要性が強調されている点に実は最も注目しておくべきでしょうね。