4286 『エイズ流行の終結に向けて:2015年目標の達成とポスト2015時代への展望』

 

 世界のHIV/エイズ対策の実施状況に関する国連潘基文事務総長の報告書が発表されました。国連総会宛ての年次報告書ですが、今年はとくにポスト2015の新たな開発課題に言及し、「エイズ流行の終結」をポスト2015の新たな枠組みの中で優先課題として盛り込むことの必要性を指摘しています。また、エイズ対策が生み出して来たさまざまな成果を他の開発課題にも生かして取り組むこと、逆にエイズ対策に対しても孤立化を避け、他の開発課題との相乗効果をエイズ流行の終結に向けた大きな力としていくことを求めています。
 これは個人的な感想ですが、ポスト2015の議論に関しては、「エイズはもういいだろう。他にも取り組まなければならない問題は山ほどあるし」といった雰囲気もあり、UNAIDSは少々、出遅れた印象でした。このため昨年あたりからUNAIDSを中心にした必死の巻き返し作戦が展開され、何とかその成果が出てきたという感じでしょうか。そうだとしたら国内のエイズ対策にも少し好影響が出てくるかもしれません。国際的な動向と国内の対策は切り離されたものではなく、両方をうまくつないでいく。こうした相乗効果もまた、重要ですね。

 HATプロジェクトのブログに報告書の要約部分の日本語仮訳を掲載しました。


エイズ流行の終結に向けて:2015年目標の達成とポスト2015時代への展望』
 
http://asajp.at.webry.info/201406/article_1.html

(解説) 国連潘基文事務総長が世界のHIV/エイズ対策の進展状況をまとめた報告書を国連総会に提出しました。報告書の日付は4月2日ですが、実際の発表は6月6日です。2011年の国連エイズ特別総会ハイレベル会合で採択された政治宣言では、宣言に盛り込まれた目標の達成状況を毎年、国連事務総長が総会に報告するよう求めており、その年次レポートです。今年はとくに、MDGs国連ミレニアム開発目標)達成年(2015年)の前年であり、政治宣言の目標達成へ向けて一段と対応を強化する必要性があることを強調するとともに、ポスト2015の新たな開発課題の中にエイズ流行の終結を優先課題として盛り込む必要があることを指摘しています。ポスト2015の開発目標については、いま国連で枠組みをめぐる議論が進められている最中であり、この時期に国連事務総長が総会に提出した公式レポートの中で、あえてこうした指摘をしたことには注目すべきでしょう。UNAIDSの公式サイトの短い紹介文および報告書のサマリー(要約)部分の日本語仮訳を以下に掲載します。