4271 【鎌倉海びより】77 年間観光客2300万人

 

 網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』(ちくま学芸文庫)を読んで、ますます鎌倉論への期待がふくらんできました。13日(火)のSANKEI EXPRESSに掲載されたコラム【鎌倉海びより】77です。それにしても鎌倉、GWも大変な人でした。

 


【鎌倉海びより】77 年間観光客2300万人

 昨年1年間に鎌倉を訪れた観光客数の推計値「延入込観光客数」が5月1日、鎌倉市から発表された。昨年は2308万人だったそうで、前年より17%(334万人)も増え、1994年以来、実に19年ぶりに2000万人の大台を超えている。

 増加の要因は何か。鎌倉市の公式サイトには次のような説明があった。

 《平成25(2013)年前半、鎌倉の世界遺産登録への期待が高まり、マスメディアにも多く取り上げられたことが、来訪動機に結びついたものと考えられます。なお、平成25年後半も引き続き客足は衰えず、ほぼ毎月、前年を上回る数字となりました》

 前回も書いたように、鎌倉は昨年、世界遺産登録を果たせず、「推薦取り下げ」という緊急避難的な対応で再挑戦への含みを残した。

 ただし、その後の1年間の動きを見ると「再チャレンジするぞ」という盛り上がりはあまり感じられない。むしろ、下手に登録され観光客がこれ以上、増えても困るといった消極論が優勢な感じすらある。

   

 今年もまた、ゴールデンウイークは多くの人でにぎわった。滑川河口の由比ガ浜海岸では、子供たちが靴を脱ぎ、はだしで海にざぶざぶと入って遊ぶ。遠浅の砂浜に長く人影が伸びる時刻になっても、その姿はなかなか減らない=写真。

 わかるなあ、その気持ち。もちろん、水の事故には注意が必要だが、海はやっぱり楽しいよね。

 世界遺産になど登録されなくても鎌倉は人を惹(ひ)きつける魅力に満ちている。それはその通りなのだが、平家も源氏も、おごれる者は常に久しくなかった。この時期にこそ、海の魅力も含めた新たなる鎌倉論を構築し、もう一度、世界遺産登録を目指してほしいと個人的には思う。