4250 横ばいのまま高止まり 昨年の報告数速報値 エイズと社会ウェブ版131

 

 厚生労働省エイズ動向委員会は28日、昨年1年間の新規HIV感染者・エイズ患者報告数の速報値を発表しました。API-Net(エイズ予防情報ネット)に委員長コメントと概要が掲載されています。
 
http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html

 正確に言うと2012年12月31日から13年12月29日までの約1年の速報値(四半期ごと速報値の合計)ですね。
 
 新規HIV感染者報告数 1077件 (過去3位)
 新規エイズ患者報告数 469件 (過去2位)
   合計       1546件 (過去2位)

 これまでで報告の合計数が最も多かったのは2008年(確定値)で、1557件(HIV感染者報告1126件、エイズ患者報告431件)でした。

 確定値は5月ごろにまとまる見通しですが、これまでの例では速報値よりやや多くなります。その点も含めて考えると、昨年は報告レベルで過去最高値とほぼ同等の数だったといえるでしょう。エイズの流行は終わったわけでも下火になったわけでもなく、続いていると考えざるを得ません。岩本愛吉委員長の委員長コメントは「横ばい傾向のまま高止まりしている」との認識を示しています。

 また、委員長コメントは「社会のHIVへの関心の低下が気がかりである」と注意喚起のメッセージも明らかにしています。ここであえて動向委員会の委員の皆さんの歯がみをするような思いを斟酌して、言わずもがなのことを付け加えれば、社会に関心の低下をお願いしているかのようにエイズ対策の予算が下降傾向を示している点もまた、大いに気がかりであります。何とか工夫して踏ん張るしかないか。詳細は後日。

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 なお、API-Netを見れば載っていますが 参考までに委員長コメントの《まとめ》を以下に再掲しておきます。
1.平成25年は速報値ではあるが、ここ数年間、新規HIV感染者と新規AIDS患者を合わせて約1500 件の報告があり、横ばい傾向のまま高止まりしている。
2.年齢別の新規HIV感染者報告数は、特に20~30代で多く、感染経路として同性間性的接触の割合が最も高い。
3.新規HIV感染者及び新規AIDS患者報告数の合計は、ここ7年間で1万件以上報告されており、累積では2万2971件の報告がある。
4.検査を受け、早期に治療を始めることでAIDSの発症を防ぐことが出来る。新規AIDS患者報告例の年齢ピークが30代から40代へと上昇傾向を示し、40歳以上が約63%を占めている。また、新規HIV感染者・新規AIDS患者報告数に占める新規AIDS患者報告数の割合は依然として30%を超えたまま推移している。以上から、検査は未だ十分行き届いていないと考えられる。
5.平成22年以降、保健所等におけるHIV抗体検査件数はゆるやかではあるが増加傾向を示しているものの、相談件数は減少傾向を示しており、社会のHIVへの関心の低下が懸念される。
6.速報値ではあるが、献血における10万件当たりの陽性件数は減少傾向であった。
7.国民の皆様には、積極的にHIV検査を受けていただきたい。自治体におかれては、エイズ予防指針を踏まえ、引き続き利便性に配慮した検査相談体制を推進していただきたい。