4224 【鎌倉海びより】64 逆立ちもある砂浜

 


 タイミングがいいんだか、悪いんだか。昨日今日と、恐ろしく寒くなってしまいました。昨日(12日)のSANKEI EXPRESSに掲載された連載コラム【鎌倉海びより】64です。 

【鎌倉海びより】64 逆立ちもある砂浜
http://www.sankeibiz.jp/express/news/131112/exg1311121531001-n1.htm
 

 3連休最終日の11月4日、近畿地方に木枯らし1号が吹いた。鎌倉の風は、そこまで冷たくなかったとはいえ、11月の3連休は雨模様の日が続いた。行楽には文字通り水を差したかっこうだ。
 それでも、たくさんの人が訪れ、町は活気に包まれていた。寺社をめぐり、最後は砂浜に出て開放感に満たされる。つかの間の休日を過ごした人が「癒やされたよねえ」と笑顔で江ノ電やJR横須賀線に乗る。その姿を見送る地元の人たちにも、それはちょっと誇らしい光景だろう。
 この夏の海水浴場の喧噪(けんそう)は遠く彼方(かなた)に去り、海に注ぐ滑川の河口の水も透き通っている。国道上の橋から川底を泳ぐ小魚の群れが鮮やかに見えるほどだ。長い首を縮めながら、サギがそっ、そっと、その小魚に近づいていく。東京の都心から1時間でこんな光景にお目にかかれるとは…。
 木枯らし1号が吹かなかった鎌倉の連休最終日、由比ガ浜の海岸はマリンスポーツを楽しむ人でにぎわっていた。海の中に入るサーファーたちに雨はあまり関係ない。関心はむしろ波の具合だろう。
 

 

 

 休憩を取るサーファーの傍らでは、なぜか逆立ちをしている人もいた=写真。広い砂浜の開放感で、身体を動かしたくなったのだろうか。他の人に迷惑をかけない限り楽しみ方は人それぞれ。逆立ち、大いにけっこうですね。倒れたって背中が砂で汚れるだけだ。みんなが同じことをするより、いろいろあった方がむしろ楽しい。この魅力は大切にしたいとつくづく思う。

 ただし、この夏の鎌倉は、その「迷惑をかけない限り」の線引きをめぐって揺れに揺れることにもなった。鎌倉だけでなく、お隣の逗子や江ノ島の海水浴場も共通の悩みに直面している。長い冬は、その解決策をさぐる時間でもある。