4217 緊急シンポ傍聴記 エイズと社会ウエブ版126

 

緊急市民シンポジウム《エイズ結核マラリア=三大感染症は克服できる》傍聴記 

 

 世界エイズ結核マラリア対策基金(世界基金)を支援し、三大感染症対策に必要な資金の確保を目指す緊急市民シンポジウム《エイズ結核マラリア=三大感染症は克服できる》が1019日、東京都千代田区のホテル・ルポール麹町で開かれました。

 

 201416年の世界基金の活動に必要な資金を確保するために、第4回増資会議が今年12月初旬、米国の首都・ワシントンで開かれます。ばくっとした説明をすれば、世界基金を支える資金拠出国が、次の3年間にどのくらいの資金を拠出する用意があるか、その誓約をとりつける会議です。

 

 すでに、わが国はこれだけの資金を拠出しますよという意向を金額と共に明示している国もあれば、日本のようにこの点にはまだ、沈黙を保っている国もあります。

 予算編成の仕組みや議会における審議のあり方などが国によって異なることもあって、あらかじめはっきり約束しちゃえる国もあれば、今の時点で金額まで含めた約束はちょっと・・・という国もあります。また、台所事情も苦しいことだし、本当はあんまり出したくないんだよね・・・と、もちろんはっきりとは言わないけれど心秘かに思っている国もあるかもしれません。

 

 日本はそもそも、世界基金生みの親ともいわれるほどの重要な世界基金の支援国であり、どんなに苦しい時期であっても(ぶっちゃけた話、ずっと苦しかったんだけど)、それでも国際社会に対し、なしうる最善の貢献はしたいということで、感染症分野に対しては並々ならぬ姿勢で臨んできました。

 

 したがって、安倍政権も、出したくないんだよね、などということはゆめゆめ思っていないでしょう。それはまあ、分かるのですが、次の3年間の拠出金額の明示にはまだ至っていません。もともと、日本はパフォーマンス的な大見得を切るのが不得意な国ではあります。口には出さなくてもきっと、担当部局の方はいま最善の努力をされているのでしょうね。

 

 そうした努力も苦労も重々承知の上で、なんとかその背中を押し、いい流れを作りたいと関連分野のNGONPOが協力して開催したのが今回のシンポだと思います。世界基金の戦略・効果・投資局長として、いま改革の先頭に立っている國井修さんもジュネーブからかけつけ、シンポに参加しました。また、フィリピンの多剤耐性結核経験者であるミルドレッド・フェルナンドさんも、その病を克服した厳しい体験を報告されました。報告者は多士済々、プログラムもかなり盛りだくさんだったので、そのあたりはアフリカ日本協議会とともにシンポの共催者だった日本リザルツのブログに詳細な報告があります。そちらをお読みいただき、感じをつかんでもらいましょう。

 

 第一部 http://resultsjp.sblo.jp/article/78706241.html

第二部 http://resultsjp.sblo.jp/article/78753661.html

 

 ということで、シンポ内容に関してはすっ飛ばし気味で恐縮ですが、最後に読み上げられた宣言を紹介しておきましょう。世界基金の生みの親とされる日本政府がその評価にふさわしい貢献を行うことなど、以下3項目を求めています。

 

1      日本を含むすべての援助国、援助機関は協力して、2013年の増資会議において、世界基金の201416年の必要額である150億ドルを拠出してください。

 

2      三大感染症の影響を受けるすべての国は、世界基金による支援に加えて、国内財源による保健への投資を拡大し、また、国民一人あたりの政府保健支出を増額して、感染症と闘う国民・市民の命を守ってください。

 

3      世界基金の設立を主導した我が国は、12月の世界基金第4回増資会議において、他の主要拠出国と同規模の、国力に見合った金額(12億ドル)を世界基金に拠出することを宣言して、設立者としての責任を果たし、国際社会に名誉ある地位を示してください。