4189 五輪を通じたHIV/エイズ対策 続き エイズと社会ウエブ版119

 五輪とエイズ対策について、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトを検索したら、20101026日付で《国連合同エイズ計画(UNAIDS)と国際オリンピック委員会IOC)が協力を強化》というFeature storyが掲載されていました。日本語仮訳をHATプロジェクトのブログに掲載したのでご覧ください。

 http://asajp.at.webry.info/201309/article_4.html

 

UNAIDSのミシェル・シデベ事務局長がIOC本部を訪れ、ジャック・ロゲ会長とスポーツを通じたHIV/エイズ分野における啓発活動でより一層の協力を確認したという内容ですね。その2年前の2008年の北京五輪の事例なども紹介されています。

 

UNAIDSIOCの協力関係は、2008年の北京五輪ではとりわけ大きな成功を収めた。「安全にプレーし、HIV感染の拡大を止めよう。あなたの周りの世界を守る。そのための役割を果たそう」という北京五輪のキャンペーンは、IOC北京五輪組織委員会、UNAIDSが共同で企画し、実行したものだ》

 

準備段階における五輪会場の建設現場での出稼ぎ労働者に向けた予防啓発なども行われています。五輪会期中の選手村では《良質のコンドーム10万個、およびHIV予防や差別との闘いに理解を求めるリーフレット5万枚がパッケージにして診療所で配布された》ということです。リーフレット1枚につき、コンドームが2つということでしょうか。

 

選手村でのコンドーム配布は、えっ、選手たちは五輪の間にそんなにセックスしまくっているのといった興味本位の取り上げ方をされることが多いようですが、実際に五輪のアスリートた ちの性行動がどのようなものなのか、私は知りません。ただし、性的にアクティブとされる年齢層の選手が多く、予防のメッセージを伝えるときには、具体的な 予防の手段についても明示することは、当然の啓発手法であり、選手村ってそんなにコンドームが必要なの?といった違和感はないと思います。

 

 世界のトップアスリートはいわば若者のロールモデルなので、HIV感 染の具体的な予防手段として抵抗感なく選手村でコンドームが配られるということも啓発の効果としては大きいのではないでしょうか。必要であるとすれば、そ れはそれで有効に活用すればいいだけの話だし、差し当たって選手村で使わなかったので、おみやげに持って帰ったということでも、啓発効果はあります。あわ せて配布されるリーフレットの中でHIV感染予防だけでなく、HIVに関連する差別や偏見との闘いにも理解を呼びかけている、この点も重要ですね。

 

 先ほどの出稼ぎ労働者を対象にした啓発活動については、UNAIDSの公式サイトに2006912日付で《北京五輪の建設現場で啓発活動》という紹介記事もありました。こちらもHATプロジェクトに日本語仮訳を掲載してあるのでご覧ください。

http://asajp.at.webry.info/200610/article_4.html

 

 北京五輪が実際に開催される2年も前のことですね。こうやってみると、私もそうとうしつこく、細々としたものを訳してきたなあと変な感慨にふけりたくもなりますが、それはそれとして・・・東京はどうなるでしょうか。五輪の開催は7年後ですが、準備は7年間、すでにスタートを切っています。