4187 祝2020年五輪東京開催 佐藤さん、流れをつくりました エイズと社会ウエブ版117

 2020五輪招致を実現に導いた日本のプレゼンテーションではオリンピックムーブメント(オリンピック運動)という言葉がしばしば強調されていました。オリンピック を支える基本的な考え方であり、夏季、冬季の五輪大会もその考え方の上に成立しています。ではオリンピックムーブメントってなんなのというと長い歴史もあ り、私のような者にはなかなかひと言では説明できません。それでも、大きなスポーツイベントにとどまるものではありませんよということぐらいは共通理解と して押さえておきましょう。オリンピックムーブメントという公式サイトがあるのでご覧ください。

 http://www.olympic.org/

 

 トップページには、アルゼンチンブエノスアイレス9月7日(日本時間9月8日)に行われたIOC総会の投票で東京が2020年五輪の開催都市に決まったことがいち早く伝えられていますね。ま、当然ではありますが、これがオリンピックムーブメントを通して本日の最大のニュースということになります。

 

 投票の結果などはすでに日本国内でも大々的に報じられているので、またかよと言われそうですが、一応、英文の記事も押さえておきたいという方はこちらをご覧ください。

http://www.olympic.org/news/ioc-selects-tokyo-as-host-of-2020-summer-olympic-games/208784

 

 ということで、もちろん、東京招致成功は大いに喜びたい。招致活動にあたってこられた方には、おめでとう、ご苦労様と言いたい。と、同時にこれからだぞ!ということで盛り上がっていきましょう。2020五 輪東京開催は希望ではなく、既定事実となりました。日本にとってはこれからいろいろな波及効果が出てくると思います。プラス、マイナスいろいろなのでしょ うが、私はプラスの効果の方が大きい、というか、生かすも殺すも自分たち次第。プラスの効果を大きくする潜在力も顕在力も日本にはあると思っています。

 

 プレゼンテーションをテレビで見た個人的な感想をいうと、高円宮妃久子様のオープニングスピーチに次いで、壇上に立った佐藤真海さんの明るさが全体の流れを作り、東京招致への道を最終段階で確実なものにしたのではないかと思います。女子走り幅跳びで、アテネ、北京、ロンドンと3つのパラリンピック大会に出場したアスリートです。

 

 彼女がプレゼンの東京チームのメンバーを一人一人、紹介していく中で会場の空気がスーッと変わっていった。テレビ画面からもそんな雰囲気が伝わってくる感じでした。先ほどから東京五輪とまるめて書いてしまっていますが、プレゼンテーションはあくまで2020年のオリンピックとパラリンピックの招致に向けたものでした。そのプレゼン全体の牽引役が佐藤選手だった。間違っても、パラリンピックを軽視してはならない。オリンピックムーブメントの精神(実はいまだに理解しきってはいないけれど、とにかく)に照らして、この点は強調しておく必要があります。

 

 

 オリンピックムーブメントのサイトには、OLYMPISM(オリンピック精神でしょうか)という項目があり、その具体的なあらわれである6つの活動のうちのDevelopment Through Sports(スポーツを通じた開発)というページには 2009417日付で「HIVエイズの予防および健康なライフスタイルの促進」という記事が掲載されています。

http://www.olympic.org/development-through-sport/hiv-aids-prevention-and-promotion-of-healthy-lifestyles

 

 本文中のAdvocacyの部分は、世界のエイズの流行に対する国際オリンピック委員会IOC)の公式な見解を明らかにしたものですね。エイズは 1981年に初めて公式症例が報告され、それが一応、世界的な流行の出発点とされています。「一応」というのは、それ以前にもHIVという病原ウイルスは 世界に少しずつ広がっているのですが、そのウイルスの感染が重大な病気を引き起こすということに気が付くようになってきたのがこの頃からだったという意味 です。以後、オリンピックムーブメントは世界のエイズ対策の大きな支えになってきました。Advocacy部分は短い文章なので、ごくごく近いうちに日本 語に訳してお伝えしたいと思います。それまでの間は恐縮ですが、公式サイトで英文をご覧ください。