♪あ~あ、横浜は今日も暑かった~ エイズと社会ウェッブ版346

 名古屋はとうとう40度を超えましたか。暑いっす。言わなくても分かっていますね。

 横浜の最高気温も36度を超えました。第25AIDS文化フォーラムin横浜(835日、かながわ県民センター)が開幕した午前10時にはもう32.1度です。

 JR横浜駅西口の体感温度はもっと高かった・・・とエビデンスはありませんが書いておこう。去年はなぜか涼しい開幕の朝でしたが、今年は恒例の猛暑で幕を開けました。

 ま、それはいいのだけれど、あれ? 開会式が始まる20分ほど前にはもう、2階の大ホールの前に長い列ができています。

AIDS文化フォーラムin横浜はいつも金曜日の午前中に開幕するので、年によっては空席が目立つこともあります。ところが、今年は順番待ちの列。しかも20代とおぼしき女性の姿が目立ちます。

 さては動員?とスタッフに聞いてみましたが、どうもそうではなく、「かずえちゃんがお目当てですかねえ」ということでした。

 開会式に続くトークセッションは毎年のテーマを踏まえ、岩室紳也医師の軽妙な司会でゲストの話を引き出していきます。

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 今年のテーマは『#リアルとつながる』。ゲストは、川田龍平参院議員、JaNP+の高久陽介代表、『神様がくれたHIV』の著者の北山祥子さん、そしてYou Tuberの「かずえちゃん」でした。かずえちゃんに「」をつけたのは「の」と「か」の間をはっきり分けるためです。

 プログラムには《「エイズ?って聞いたことがない」時代に!? いま、何が問題なのか。当事者とYou Tuberが本音で語り合う》と書かれています。

 つまり、川田さん、高久さん、北山さんはHIVに感染している当事者、そして、かずえちゃんがYou Tuberです。私の場合、最初の3人の方は以前から存じ上げていますが、かずえちゃんについては名前も知りませんでした。すいません。

 一方で、会場に列を作っておられた比較的、若い女性の多くは、かずえちゃんが登壇するということで会場まで来られた方だったのでしょうね。私の勝手な想像ですが、最初の3人の方については、まったくとは言わないまでも、あまり知らなかった人たちではないかと思います。

 話を急ぎましょう。トークの内容は非常に充実したものでしたが、他の方の報告もあるでしょうからほぼ全面的にすっ飛ばして、ここで私が書きたいのは、AIDS文化フォーラムが持つこうした機能のことです。「こうした」というのはつまり、異なる人を結びつけるというか、エイズについては関心があまり(あるいは、ほとんど、まったく)ない人に興味を持ってもらう機会を提供するというか・・・。これは簡単なようで実はそうたやすいことではありません。

 そうしたことを25年間も毎年、この夏のくそ暑い時に続けてきた。あまり目立たないのですが、これは快挙であり、偉業であり、ノーベル文化フォーラム賞というものが仮にあれば十分、受賞に値します。

 たとえば、《リアルと出会う》をテーマにした昨年は、セクシー女優の吉沢明歩さんがゲストとしてお話をされました。去年の開会式も会場は満席でしたが、この時は最前列に吉沢さんのコアなファンが陣取り、席は前から埋まるという感じでした。

 対照的に今年は、開会前から長い行列ができるという展開でありながら、席は後ろからうまり、前の方の席にはなかなか座ろうとしない人が多かった印象です。

 ああ、そうか。日本の中の、そのまた横浜の、一つのイベントに集まる人であっても、これほどに人の行動は多様であり、それぞれの条件を持つ人に適したかたちでメッセージを伝えるにはかなり高度な技術と経験が必要です。それにしても岩室さん、うまいこと話を振っていくなあ・・・などということを冷房の効いた客席で改めて感じたりもしました。

 ちょっと付け足しのようになりますが、今回の文化フォーラムでは25回の節目を記念して切手シートも販売されています。82円の切手が10枚で1シート1500円。少々計算が合わない感じもするけれど、記念になるし、まあいいか、ということで私も1シート買い求めて帰りました。

 ネットを駆使して知識や情報を伝えるのもコミュニケーションだし、手紙を書いて記念の切手を貼り、そっとメッセージとして伝えるのもコミュニケーションです。かずえちゃんがYou Tubeで伝えているのは、世の中にLGBTのことを知ってほしい、理解が広がってほしいというメッセージでしょう。その中に少し、HIV/エイズのことも入るようになればそれもすばらしい。

 そして、セッション中に岩室さんが強調していたように「知識だけでは、ダメ絶対」であります。それにしてもコンドームの達人はうまいことを言うね。知識にプラスして必要なものは何か。リアルに人と人とがつながることで生まれるコミュニケーション、これもまた大切にしたい。

 大幅に中抜きした割には、とってつけたようなまとめで恐縮ですが、今年もまたくそ暑く、かつ有意義な8月最初の金曜日でした。

 

 

 

縛られ、サルグツワをはめられ・・・拡大版『グローバルギャグルール』の影響 エイズと社会ウェブ版345

 米国のトランプ政権が採用しているグローバルギャグルールは、妊娠中絶を支援する組織に対しては、米国の政府の国際援助資金は提供しないという政策です。1980年代のレーガン政権時代に登場し、共和党政権では代々、受け継がれてきました。つまり、民主党政権になると廃止され、共和党が政権を取ると復活するという迷惑な政策変更を繰り返してきました。

 トランプ政権の場合、迷惑など数えだしたらきりがないのかもしれませんが、グローバルギャグルールについていえば、過去の政権に輪をかけてひどいことになりそうだという懸念が発足当時からありました。これまでなら対象が家族計画の援助資金に限定されていたのに対し、トランプさんは米国の看板政策である米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)も含め、グローバルヘルス分野における二国間援助のほとんどすべてに広げてしまったからです。

 トランプ政権のグローバルギャグルールが拡大版と呼ばれるのはこのためであり、アムステルダムの第22回国際エイズ会議(AIDS2018)でも、最終日の7月27日にBound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy(縛られ、サルグツワをはめられ:拡大版メキシコシティ政策の影響をあばく)というセッションが開かれました。メキシコシティ政策というのが、グローバルギャグルールのことです。

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 ところで、このセッションのタイトルはどう訳したらいいのかと思い、試みにBound and gaggedをネットで調べてみたら、エロ動画のタイトルというのが出てきました。あらら、品行方正なおじさんとしては、ひとり当惑するばかりですが、そこまで激しい言葉で表現しないと気が済まないほど、HIV/エイズ対策の現場は怒っているのでしょうね。

 日本にいるので、セッションには出られなかったのですが(え、言わなくてもわかっている?)、セッションの直前に出されたプレスリリースがAIDS2018の公式サイトに掲載されていました。その日本語仮訳です。

 『記者会見で発表したサマリーはアブストラクトをもとにしている:セッションでの報告は最終データに差し替えられることもある』という断り書き付きなので、データ的には靴下の上からブーツをはいて、その上からしもやけを掻くような感じではありますが、それでも影響がじわじわ広がっている様子は伝わってきます。

 リリースでは4本のアブストラクトが紹介され、それぞれに以下の小見出しがついています。

 

 ・PEPFARに支援されている数百単位の組織がグローバルギャグルールの影響を受ける

 ・各組織はすでに何千万ドルもの資金を失っている

 ・ルールの適用除外事例もある

 ・拡大版グローバルギャグルールはすでにHIV対策の現場に大きな影響を与えている

 

 3番目のルールの適用除外事例としては、各国の国内法で、保健医療提供者が妊娠中絶に関するカウンセリングや照会を積極的に行うよう定めている場合には、適用が除外される傾向があるようです。これは私の想像ですが、米国のPEPFAR担当者もさすがに寝覚めが悪く、親分の言っていることに面と向かって逆らうことはできないけれど、できることなら資金援助を打ち切らずに済ませたいと心を砕いている。そんな側面もあるのではないかと思います。日本でも面従何とか・・・とおっしゃっていた方がいましたね。

 リリースにはカリフォルニア州選出のバーバラ・リー米下院議員のコメントも紹介されています。

「トランプ-ペンス(正副大統領)のグローバルギャグルールはイデオロギー色の強い十字軍的政策です」

「極右主義者をなだめるために、女性と子供の保健医療ケアを人質にとるなどということは許されません」

 さすがに歯切れがいいですね。2001年9月14日、米連邦議会が当時のブッシュ大統領に同時テロへの報復のために「必要で適切なあらゆる軍事力」を行使する権限を与える決議を採択した際、上下両院を通じ、ただ一人、反対票を投じた議員さんです。こちらは民主党の議員なので、面従など考える必要もありません。

 アムステルダムの次の2020年の国際エイズ会議はそのバーバラ・リー議員の地元、米カリフォルニア州のサンフランシスコとオークランドで開催される予定です。現政権の移民政策に対する懸念から、トランプさんのアメリカでは国際エイズ会議は開けないと反対する声が早くも上がっています。

 ただし、だからこそ、ここでしっかりと筋を通し、トランプさんの思い通りにはいかないことを示しておきたいと開催を支持する声も強くあります。バーバラ・リー議員は有力な推進者の一人です。

 2020年の7月と言えば、日本では東京五輪の直前でてんやわんやの時期でしょうが、米国では次期大統領選のキャンペーンの真っ最中です。どう考えたって会議が政治的な意味を持たないわけにはいきません。

 そこから逆算していくと、この秋の米上下院の中間選挙の持つ意味もまた、HIV/エイズ関係者にとって決して小さくはないぞということも自ずと分かってきそうですね。エイズ対策秋の陣、けっこう波乱含みです。

 

 

米国の拡大版『グローバルギャグルール』の広範な影響を示す新たなエビデンス

  HIV対策への潜在的脅威を研究報告で描く

  2018年7月27日、AIDS2018公式プレスリリース

http://www.aids2018.org/Media-Centre/The-latest/Press-releases/ArticleID/194/New-evidence-shows-far-reaching-impact-of-expanded-US-“global-gag-rule

 

2018年7月27日(オランダ・アムステルダム) 「グローバルギャグルール」とも呼ばれる米国政府の「メキシコシティ政策」が及ぼす影響について、研究者らは本日、第22回国際エイズ会議(AIDS2018)で警戒すべきエビデンスを共有した。

 

カリフォルニア選出のバーバラ・リー下院議員もこう語った:

「トランプ-ペンス(正副大統領)のグローバルギャグルールはイデオロギー色の強い十字軍的政策です。世界中の女性の生死にかかわるケアを否定し、世界のHIV対策が長い時間をかけて成し遂げてきた成果を脅かしています」

「極右主義者をなだめるために、女性と子供の保健医療ケアを人質にとるなどということは許されません」

 

米国のドナルド・トランプ大統領は昨年、合法的な妊娠中絶および妊娠中絶の擁護活動に関する情報提供や委託、サービス提供を行っている組織に対しては、その活動に自己資金を当てている組織であっても、米国からの資金は提供しないとするロナルド・レーガン時代の政策を復活させた。

 こうした政策はレーガン政権以降も、共和党が政権を握ると、繰り返し実施されてきたが、これまでは対象が家族計画の援助資金に限定されていた。ところが今回は、トランプ政権により、米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)を含め、米国のグローバルヘルス分野における二国間援助のほとんどすべてが対象となっている。

 「グローバルギャグルールの適用範囲は大きく拡大しており、このままではHIV対策の成果も台無しにしてしまう恐れがあります」と国際エイズ学会(IAS)の次期理事長で、英チェルシー・ウェストミニスター病院のアントン・ポズニアクHIV研究所長兼HIVサービス部長はいう。「エビデンスははっきりしています:私たちに必要なのは、性と生殖に関する健康およびHIVを統合したサービスをさらに広げていくことであり、保健医療サービスを利用しにくくする政策ではありません」

 本日の記者会見では、この政策の影響について異なる観点から報告した4本の研究成果が取り上げられた。

(注)記者会見で発表したサマリーはアブストラクトをもとにしている:セッションでの報告は最終データに差し替えられることもある。

 

 

PEPFARに支援されている数百単位の組織がグローバルギャグルールの影響を受ける

 最初の研究は、拡大版メキシコシティ政策のHIVプログラムとサービスへの影響範囲の把握を試みた。著者らはPEPFARの資金を受け、政策対象となり得る非政府組織(NGO)の数と支援額を推定するため、ForeignAssistance.gov(米国政府のウェブサイト)で入手可能な直近3年間 (FY2013-2015) のデータを分析した。

 カイザーファミリー財団のジェニファー・ケイツの報告によると、PEPFARの支援を受けている国の半数以上が合法的妊娠中絶を認めている。著者らが特定したところでは、HIV対策用にPEPFARから二国間資金の援助を受けている海外NGOは470団体で、援助額は計8億7300万ドルだった。さらに著者らは米国のNGO274団体も特定し、援助を受けた資金は55億ドルだった。したがって、影響を調べるには、さらに米国内の団体から資金を受けている海外NGOも把握する必要がある。

 研究者らは拡大版ギャグルールにより、PEPFARの支援を受けている何百ものNGOが影響を受けるとしている。[サマリーはアブストラクトをもとにしたもので、更新版データが会場で明らかにされるかもしれない]

アブストラクト: The Mexico City Policy and PEPFAR: Estimating the impact on NGOs and funding

セッション: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (7月27日金曜11:00-12:30)

 

 

各組織はすでに何千万ドルもの資金を失っている

 2番目の研究は、性と生殖に関する健康サービスと統合してHIVサービスの提供を行っているエチオピアジンバブエの組織について、ギャグルールがどのような影響を与えているかを調べた。研究は文献調査と統計予測、コミュニティ参加(フォーカスグループ、関係者ミーティング、半構造化面接)の混合研究法を採用している。

 国際HIV/エイズ連合のルイザ・オルザは、グローバルギャグルールによる資金喪失について暫定調査結果をまとめた。性と生殖に関する健康サービスとHIVサービスを統合したかたちで提供することはもはやできなくなり、キーポピュレーションや社会的に弱い立場の人たちは、これまでのようにパッケージ化したサービスが受けられないので、HIV予防、検査、治療サービスへのアクセスが縮小し、健康が危険にさらされる結果を招いている。また、中絶法の維持または緩和を求める政策提言活動は、市民社会の混乱と不安定化、分裂により行き詰まる恐れがあると著者らは予測している。

 しかし、著者らは、創造的な政策提言活動の機会を模索する動きも市民社会には生まれていると指摘している。[サマリーはアブストラクトをもとにしたもので、更新版データが会場で明らかにされるかもしれない]

アブストラクト: A model of dis-integration: Unpacking the impact of the global gag rule on HIV-SRHR linkages

セッション: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (7月27日金曜11:00-12:30)

 

 

ルールの適用除外事例もある

 3番目の研究はアフリカの数カ国におけるグローバルギャグルールへの対応状況を調べている。とりわけ、各国の法律で、保健医療提供者が妊娠中絶に関するカウンセリングや照会を積極的に行うよう求めている場合には、米国の方針が適用除外となるように見えるからだ。

 著者らはアフリカ数カ国で適用除外に向けた積極的な対応策について法的評価を行った。エイズ研究財団(amFAR)のブライアン・ホナーマンの発表では、南アフリカ憲法に基づくリプロダクティブライツの保護措置が強い力を持っていた。南アフリカは国民健康法と倫理ガイドラインインフォームドコンセントを強く求め、保健医療提供者-PEPFARのパートナーも含む-にカウンセリングと中絶サービス照会を義務付ける確固とした判例法もある。モザンビークザンビアジンバブエにも異なるレベルでの保護の仕組みがみられた。

 この研究では、南アフリカの法律が政策提言活動のひな型として活用できるとしている。[サマリーはアブストラクトをもとにしたもので、更新版データが会場で明らかにされるかもしれない]

アブストラクト: Caught by ideology: HIV providers in the era of the protecting life in global health assistance policy (AKA Mexico City Policy)

セッション: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (7月27日金曜11:00-12:30)

 

 

拡大版グローバルギャグルールはすでにHIV対策の現場に大きな影響を与えている

 第4の研究は、ギャグルールによる悪影響のエビデンスを歴史的に明らかにし、現在の環境のもとでグローバルヘルスの成果を持続的に高めていくための戦略を示している。

 著者らはグローバルギャグルールが前回、実施された2001~2009年当時の教訓を検討した。米国家族計画連盟のコール・クーニーが発表した調査結果では、グローバルギャグルールには数多くの有害な影響がある。レソトでは女性の4人に1人がHIVに感染しているというのに、コンドームの配布を主に担うレソト家族計画協会がこのルールのために米国資金を得られなくなり、米国際開発庁(USAID)はレソトへのコンドーム輸送を中止せざるを得なくなった。

 もう一つ例では、ケニア家族計画協会とメリー・ストープス・インターナショナル・ケニアが運営していた重要な活動も2002年から2006年の間、休止に追い込まれている。この2組織はケニア国内の貧困な村落コミュニティに対する主要な保健医療提供者だった。[サマリーはアブストラクトをもとにしたもので、更新版データが会場で明らかにされるかもしれない]

アブストラクト: Understanding the global gag rule: How to sustain global health progress amidst the new U.S. policy environment

セッション: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (7月27日金曜11:00-12:30)

 

マラウィのアドボケートであるAfriYAN ユースネットワーク兼世界SheDecides運動のティカハラ・イタェもセッションで、グローバルギャグルールがいかに女性の保健医療へのアクセスを阻んでいるかについて、コミュニティの立場から語った。

 

 

 

 

New evidence shows far-reaching impact of expanded US “global gag rule”

posted on 7/27/2018 12:05:00 AM

Studies lay out potential threats to HIV progress

http://www.aids2018.org/Media-Centre/The-latest/Press-releases/ArticleID/194/New-evidence-shows-far-reaching-impact-of-expanded-US-“global-gag-rule

 

27 July 2018 (Amsterdam, the Netherlands) – Researchers shared alarming evidence at the 22nd International AIDS Conference (AIDS 2018) today of negative impacts of the US Government’s “Mexico City Policy”, also known as the “global gag rule”.

US Representative Barbara Lee of California’s 13th Congressional District also spoke:

“The Trump-Pence Global Gag Rule is an ideological crusade that denies lifesaving care to women around the world and threatens decades of progress in the global HIV response,” she said. “The health care of women and children shouldn’t be used as a pawn to placate right-wing extremists.”

First put in place by President Ronald Reagan and reinstated last year by President Donald Trump, the policy denies US aid to organizations that provide information, referrals or services related to legal abortion or advocate for abortion, even with their own money.

Past iterations of the policy applied solely to US family planning assistance. Now, under the Trump Administration, it applies to almost all US global health bilateral assistance, including the President’s Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR).

“The reach of the global gag rule has been greatly expanded, and has the potential to roll back progress on HIV,” Anton Pozniak, President-Elect of the International AIDS Society and Executive Director of HIV research and Director of HIV services, Chelsea and Westminster Hospital in the United Kingdom, said. “The evidence is clear: we need better integration of sexual and reproductive health and HIV services, not policies that make it harder for people to access healthcare.”

Today’s press conference highlighted four studies looking at different areas of the policy’s impact.

Note: Press summaries are based on abstracts; final data presented at the conference may change.<

 

Hundreds of organizations receiving PEPFAR support will be impacted

The first study sought to understand the effect of the expanded Mexico City Policy on HIV programmes and services. The authors analysed data from ForeignAssistance.gov over the most recent three-year period for which such data were available (FY2013-2015) to estimate the number of non-governmental organization (NGO) recipients of PEPFAR funding that could be subject to the policy, as well as the amount of funding they receive.

Results, as presented by Jennifer Kates of the Kaiser Family Foundation, were that more than half of the countries that receive PEPFAR support allow for legal abortion. The authors identified 470 foreign NGO prime recipients of PEPFAR bilateral HIV funding, which received $873 million. In addition, they identified 274 US NGO prime recipients, accounting for $5.5 billion, which would be required to ensure that any foreign NGO sub-recipients were in compliance.

The researchers concluded that the expanded gag rule would likely affect hundreds of NGOs that receive PEPFAR support. [Summary based on submitted abstract; updated data may be presented on site.]

Abstract: The Mexico City Policy and PEPFAR: Estimating the impact on NGOs and funding

Session: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (Friday, 27 July, 11:00-12:30)

 

Organizations have already lost tens of millions of dollars in funding

The second study looked at the impact of the gag rule on organizations in Ethiopia and Zimbabwe that provide HIV services that are integrated with sexual and reproductive health. This mixed-methods study combined desk research, statistical forecasting and community engagement (focus groups, stakeholder meetings and semi-structured interviews).

Luisa Orza of the International HIV/AIDS Alliance presented preliminary findings, which point to funding loss as a result of the global gag rule. As a result, it is likely that sexual and reproductive health and HIV services will no longer be offered in an integrated manner, resulting in reduced access to HIV prevention, testing and treatment services and jeopardized health of key and vulnerable populations by restricting the package of services they can receive. The authors also predicted that advocacy efforts to maintain or liberalize abortion laws will be stifled due to confusion, uncertainty and fragmentation of civil society.

However, they also noted evidence of civil society seeking creative opportunities for new advocacy collaborations. [Summary based on submitted abstract; updated data may be presented on site.]

Abstract: A model of dis-integration: Unpacking the impact of the global gag rule on HIV-SRHR linkages

Session: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (Friday, 27 July, 11:00-12:30)

 

 

An exception to the rule

The third study assessed the global gag rule’s applicability in several African countries. Specifically, it looked at an exception in the US policy that applies when local laws affirmatively require healthcare providers to provide counselling and referrals for abortion.

The authors conducted a legal assessment of the applicability of the affirmative defence in several African countries. Findings, presented by Brian Honermann of amFAR, were that South Africa has particularly strong Constitutional protections for reproductive rights. South Africa also has strong informed consent requirements in its National Health Act, ethical guidelines, and robust case law that compel healthcare providers – including PEPFAR partners – to continue counselling about and referring for abortion services that cannot be circumvented by the policy. Evaluations in Mozambique, Zambia and Zimbabwe have found differing levels of protections.

The study concluded that South African law provides a template for advocates to replicate. [Summary based on submitted abstract; updated data may be presented on site.]

Abstract: Caught by ideology: HIV providers in the era of the protecting life in global health assistance policy (AKA Mexico City Policy)

Session: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (Friday, 27 July, 11:00-12:30)

 

 

The expanded global gag rule is already having a major impact in the HIV arena

The fourth study provided further evidence of the gag rule’s negative impact, both now and historically, and identifies strategies for sustaining global health progress in this environment.

The authors assessed lessons learned from previous iterations of the global gag rule from 2001-2009. Findings, presented by Chloe Cooney of Planned Parenthood Federation of America, were that the policy had a number of harmful impacts. These include USAID being forced to end condom shipments to Lesotho at a time when one in four women in the country was infected with HIV because the Lesotho Planned Parenthood Association, the primary conduit for condoms in the country, could no longer receive US funding under the global gag rule.

Another example is the termination of critical activities run by the Family Planning Association of Kenya and Marie Stopes International Kenya between 2002 and 2006. These are the leading providers of healthcare to people living in poor and rural communities in the country. [Summary based on submitted abstract; updated data may be presented on site.]

Abstract: Understanding the global gag rule: How to sustain global health progress amidst the new U.S. policy environment

Session: Bound and gagged: Exposing the impact of the expanded Mexico City policy (Friday, 27 July, 11:00-12:30)

 

Malawian advocate Tikahala Itaye of the AfriYAN youth network and the Global SheDecides Movement also spoke at the session, providing a community perspective of how the global gag rule restricts women from accessing healthcare.

 

つまり、許してもらうということではなく TOP-HAT News第119号 エイズと社会ウェブ版344

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)が6月末から『Respect and dignity matter』というキャンペーンを展開しています。日本語では『尊厳と尊重、それが大切です』といったところでしょうか。7月はオランダのアムステルダムで第22回国際エイズ会議(AIDS20182327日)が開かれ、HIV/エイズ関係の宣言や発表が盛りだくさんだったので、ちょっと目立たなかった印象ですが、メッセージはHIV/エイズ対策の現状を考えるとかなり重要なのではないかと思います。

 実は79日にも当ブログで紹介してあるのですが、このまま埋もれてしまうのも忍びないので、もう1回、改めて・・・ということで微力ながらTOP-HAT News119号の巻頭で取り上げました。

 キャンペーンのサイトとあわせてご覧ください。

  http://respect.unaids.org/ 

『尊厳を守り尊重するということは、許容(tolerance)ではなく受容(acceptance)することです』

このtoleranceacceptanceも日本語ではどんな訳語がいいのか。かなり考えた末に許容と受容で対比してみました。 

 許容でなく受容。存在を許してもらうわけではなく、そのまま受け入れる。これもまた重要かつタイムリーなメッセージかなあと(昨今の日本の動きもにらみつつ)改めて感じています。

 

 

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メルマガ:TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)

        第119号(20187月)

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TOP-HAT News特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html  で。

エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

 

1 はじめに HIV/エイズ対策に見る『尊厳と尊重』の大切さ

 

2 第25AIDS文化フォーラムin 横浜 83日(金)~5日(日)

 

3  『地域においてHIV陽性者と薬物使用者を支援する研究』

 

4  使えるツールとして生かすために エイズ予防指針

 

◇◆◇◆◇◆

 

1 はじめに HIV/エイズ対策に見る『尊厳と尊重』の大切さ

国連合同エイズ計画(UNAIDS)が6月末から『Respect and dignity matter(尊厳と尊重、それが大切です)』というキャンペーンを展開しています。「あなたにとっての尊厳と尊重とは」(What does it mean to you)と問いかけ、インターネットで投稿を受け付ける・・・そんなキャンペーンです。公式サイトからビデオや絵はがきをダウンロードしキャンペーン素材として活用することもできます。

 http://respect.unaids.org/

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簡単な手順で、短いメッセージを投稿できる仕組みがこのキャンペーンのポイントでしょう。投稿されたメッセージは『メッセージボード』に並べられ、閲覧できます。

数が多いので個々のメッセージまではとても訳せませんが、せめて、ということで、キャンペーンの趣旨説明(about)の日本語仮訳を作成しました。エイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに掲載したので、こちらもご覧ください。

 http://asajp.at.webry.info/201807/article_1.html

感染した人の体内でHIVの増殖を抑える抗レトロウイルス薬をいくつか組み合わせて服用する抗レトロウイルス治療の進歩により、HIVに感染したとしても、必要な治療を続けていれば、感染していない人と同じくらい長く、そして就労や社会生活を維持しながら生きていくことが期待できます。1980年代や90年代の前半にもたれていた「死の病」のイメージは、現状ではあてはまりません。

また、治療の普及が予防にも効果があることを示す研究成果も相次いで報告され、T as P(予防としての治療=Treatment as Prevention)という考え方も国際的に広く共有されています。

 その結果、治療の普及が進めば、T as Pエイズの流行は終結するという数学モデルも示され、流行の制圧に大きな期待がかけられています。

ただし、話はそう簡単に終わるものではなさそうです。

これまでの推移を見るとエイズ関連の死者数は大きく減少しているものの、HIV新規感染の方は期待通りに減少しているわけではないからです。

抗レトロウイルス治療の普及が実現するには、その普及を支える社会的な条件にも同時に目配りが必要です。すべての人の尊厳を重視し、人権の尊重を基本にしたものでなければ、HIV/エイズ対策が効果をあげることはできません。このことは、20世紀末に航空機事故で急逝した世界保健機関WHO)の元世界エイズプログラム部長、ジョナサン・マン博士や初代UNAIDS事務局長だったピーター・ピオット博士が1980年代から、ことあるごとに、繰り返し強調してきたことでもあります。

延命という意味では、そして長く生きられるようになった分の生活の質を保証するという意味でも、治療は目覚ましい進歩を遂げています。それでもなお、世界のHIV/エイズとの闘いはまだ道は半ばです。

UNAIDS2017年に『いまや世界のHIV陽性者の半数以上が必要な治療を受けている』と報告していますが、これは同時に「いまでもなお、HIVに感染している人の半数近くは生きていくために必要不可欠な治療を受けることもできずにいる」という困難な現状を示すものでもあります。繰り返しますが、道はまだ半ばです。

今回のキャンペーンの趣旨説明には『尊厳と尊重があれば(それぞれの人の尊厳を守り、尊重することで)、安全が保てます。安定します。恐れることなく、自分でいることができます』と書かれています。

逆の言い方をすれば、「安全で安定した生活」と「恐れることなく自分でいることができる環境」が保障されなければ、感染を心配する人が自ら進んでHIV検査を受けることも、感染が分かって必要な治療を受けることも、そしてHIV感染を防ぐために必要な情報やサービスを受けることも困難になってしまいます。

趣旨説明の中でUNAIDSはこう指摘してもいます。

『尊厳を守り尊重するということは、許容(tolerance)ではなく受容(acceptance)することです。人がその人本来の姿で受け入れられるということです。どこから来て、だれを愛し、どんな行動をとり、誰とセックスをするか、その人にとって必要なものが大切なのです』

 許容でなく受容。存在を許してもらうわけではなく、そのまま受け入れる。これもまた重要なメッセージですね。

 

 

 

2 第25AIDS文化フォーラムin 横浜 83日(金)~5日(日)

 息の長い継続は《尊厳と尊重》のお手本といえるのかもしれません。AIDS文化フォーラム in 横浜は19948月、横浜で第10回国際エイズ会議が開かれたことがきっかけになってスタートしました。以後、毎年8月の最初の金土日に開催され、今年で第25回の節目を迎えます。

 その節目の年のテーマは『♯リアルとつながる』。開催は83日(金)から3日間、かながわ県民センター(横浜駅西口徒歩5分)で。 参加自由・入場無料です。

 《AIDS文化フォーラムでは、色んな立場の人、色んな意見があり、様々な“リアル”が認められています。そんな様々な“リアル”とつながってみませんか?》(チラシから)

 プログラムなど詳細情報は公式サイトでご覧ください。

 http://abf-yokohama.org/

 

 

 

3  『地域においてHIV陽性者と薬物使用者を支援する研究』

 平成27年度から29年度までの3年間にわたって研究を行ってきた厚労省研究班が報告書をまとめました。「地域におけるHIV陽性者支援のためのウェブサイト」で3年間の『総合研究報告書』および『平成29年度 総括・分担研究報告書』のPDF版をダウンロードできます。

 http://www.chiiki-shien.jp/

 

 

 

4  使えるツールとして生かすために エイズ予防指針

 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+)のニュースレター第36号(20186月)に《エイズ予防指針って、そもそも何?》という特集記事が掲載されています。

 https://www.janpplus.jp/

 日本のHIV/エイズ対策の基本となるこの指針は、199910月に告示され、これまでに3回、改正されています。現行指針は一昨年末からの見直し作業を経て、今年118日に告示されました。

 特集記事は国内のHIV/エイズ対策の現状や改正のポイントなどを報告し、指針の見直しは実は大臣告示で終わったわけではなく、『実際に役立つツールとして使う』という宿題はむしろこれからにゆだねられていることも指摘しています。

 

『HIV予防の危機の中核にあるコンドーム危機』 エイズと社会ウェブ版343

 オランダのアムステルダムで開かれていた第22回国際エイズ会議(AIDS2018)で725日、コンドームをテーマにしたセッションが開かれました。題して『コンドーム2.0:流行管理の時代における効果的コンドームプログラムの再生』。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトにその報告記事が掲載されています。

A condom crisis at the centre of the HIV prevention crisis』(HIV予防の危機の中核にあるコンドーム危機)

http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2018/july/20180723_condoms-AIDS2018

 HIV予防はいまや危機に瀕している。これはUNAIDSが最近、強く打ち出しているメッセージです。その主要因のひとつがコンドーム危機ですよと指摘しています。

このままでは国連総会が華々しく打ち上げた『2030年のエイズ流行終結』どころではありません。HIV治療には高い予防効果があるのだから、治療の普及を進めれば「公衆衛生上の脅威としてのエイズ流行」は終結に追い込める。ついこの間まで、そう言っていたような気がしますが、ここで嫌味を言っても始まりませんね。

治療で予防できるのならもう、コンドームなんてあてにしたくない。ま、人情としてそう思いたくもなります。

しかし、どうもT as P(予防としての治療)だけではうまくいきそうもないぞという(素人なら誰でもわかりそうな)ことに、最近はお医者さんもようやく気が付いてきました。

U=Uは極めて重要なメッセージですが、文脈によっては微妙なメッセージになることもあります。どこで、どのようなメッセージを発するかというセレクションが、最近はますます重要、かつ悩ましくなっています。

それでどうするかというと、このごろは「治療薬を予防用に使えばいいんだ」という発想もかなり強烈に打ち出されています。お医者さんには自分のフィールドに持ち込みたいという願望があるのかもしれません。これに異なる層からの「コンドームを使わずにセックスしたい」という願望が重なり、最近は曝露前予防服薬(PrEP)というかなりトリッキーな(と私は思う)手段が大きく注目されています。

個人的には立場が異なる者の間での同床異夢的な状態は長くは続かないのではないかとも思いますが、とりあえず現在は「コンドームはもういんじゃね?」という雰囲気が広がっています。しかも、世の中の趨勢としては「エイズはもういんじゃね?」という気分もあり、コンドーム普及の動きはどうも失速気味です。

さすがにこれはまずいよね・・・ということでセッションが開かれたのでしょうね、きっと。引用されているコメントの中でUNAIDSのヘンク・ヴァン・レンターガム高速対応国支援シニア・アドバイザーはこう語っています。

「コンドーム危機は予防危機の中核にあります。コンドーム配布を最大限に生かしてHIV性感染症、望まない妊娠を減らすという費用対効果の高い方法を選べる機会が失われつつあるのです」

 コンドーム危機について、セッションではは供給不足が顕著なアフリカの状況に焦点が当てられているようですが、日本ではどうなのでしょうか。事情はかなり異なっています。入手は比較的、容易だと思いますが、使わないでセックスしたいということになると、供給能力とは別のストーリーになります。

以下、『A condom crisis at the centre of the HIV prevention crisis』の日本語仮訳です。

 

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HIV予防の危機の中核にあるコンドーム危機

   2018728 UNAIDS

 

 HIVや他の性感染症、望まない妊娠は依然、何百万もの人たち、とりわけ若い女性やキーポピュレーションの人たちの健康を脅かしている。AIDS2018のセッション『コンドーム2.0:流行管理の時代における効果的コンドームプログラムの再生』の参加者はこう指摘する。

 セッションで示されたデータによると、HIVの流行が始まって以来、コンドームの普及が約5000万人のHIV新規感染を防いできた。最後に感染リスクの高いセックスをした際にコンドームを使用した人の割合は過去30年、多くの国で増加しており、8090%に達した国もある。さらにデータが得られたすべての国で、2000年と2016年を比較すると、成人のHIV感染が着実に減少(30%以上)している国では、最後に行きずりの相手とセックスをした男女、および金銭を伴うセックスにおける男性のコンドーム使用率も着実に増加(60%以上)していた。

 だが、30年にわたるHIV対策の中で、コンドーム使用率は増加しているにもかかわらず、コンドームの入手や使用のギャップは依然、存在している。とりわけ、サハラ以南のアフリカでは、入手できるコンドームの数と必要数とのギャップが30億個を超えると推計されている。2015年にサハラ以南のアフリカ47カ国で必要なコンドームの数は年間60億個だったが、実際の供給数は27億個だった。

 セッション参加者はコンドームへのアクセスを妨げ、使用を阻む障壁が数多く残っていることを強調した。アクセス不足、年齢制限、ジェンダー規範、宗教的規範、スティグマ、不十分な供給数などであり、場所によってはコンドーム所持を違法とする国もある。学校や思春期の若者が集まるところでコンドームの普及活動や配布を禁じている国も多い。セッション参加者によると、2017年現在、国のコンドーム政策や戦略があると回答した100カ国のうち、中学校でコンドームについて教えている国は26カ国にとどまっていた。

 サハラ以南のアフリカではコンドーム調達のための国際資金がここ数年、減少しており、国内予算もそれを補うほどには増えていないと参加者は指摘した。数カ国ではコンドーム計画、とりわけコンドーム普及と需要喚起のための対策が資金不足と投資減のために行き詰っている。

 セッションで参加者らは、コンビネーションHIV予防および性と生殖に関する保健サービスの中で、HIV性感染症、望まない妊娠の高いリスクに曝されている人たちを対象にして、データに基づき、人を中心に据えた包括的な新世代コンドーム対策を進める必要があることを強調した。

 こうした新たなプログラムは、コンドームおよび水性潤滑剤の需要喚起と供給体制の強化を目的としており、そのためには若者やキーポピュレーション、高いリスクに曝されているその他の人たちのコンドーム需要や提供、使用へのアクセスを妨げている障壁と不平等に取り組む必要がある。また、コンドーム普及・配布の戦略と方法は、データを踏まえ、それぞれのコミュニティの事情とニーズに合わせる必要がある。

 最後に参加者は、複数の関係者がコンドーム対策に参加して効果をあげられるようにするための調整、監督機能が必要なこと、およびコンドームを受け取る人たちやコミュニティが計画段階からサービス提供、モニターまで関与する必要があることで合意した。

 

コメント

 「失地回復が必要です。これまでのやり方を変えなければいけないということです」

  ナミビアのバーナード・ハウフィク保健社会福祉

 

 「コンドーム危機は予防危機の中核にあります。コンドーム配布を最大限に生かしてHIV性感染症、望まない妊娠を減らすという費用対効果の高い方法を選べる機会が失われつつあるのです」

 ヘンク・ヴァン・レンターガムUNAIDS高速対応国支援シニア・アドバイザー

 

 「すべての新しい世代の若者がHIV性感染症、望まない妊娠から自由になり、セックスを楽しむことができるように、私たちは常にコンドーム普及の努力を新たにしなければなりません」

 ダニエル・ナゲル Youth against AIDS

 

 「100万ユーロ出すと言われても、コンドームなしで客とすることはありません」

 フォクシー・エンジェル アムステルダム「飾り窓」地区のセックスワーカー(ヘンク・ヴァン・レンターガムによる引用)

 

 

 

A condom crisis at the centre of the HIV prevention crisis

28 July 2018

HIV and other sexually transmitted infections and unintended pregnancies continue to pose a high health burden for millions of people, specially for young women and key populations, according to participants at an AIDS2018 session titled Condoms 2.0: Reinvigorating effective condom programming in the era of epidemic control.

Data presented during the session shows that condom promotion has averted an estimated 50 million new HIV infections since the onset of the HIV epidemic. Condom use at last higher risk sex has increased over the past three decades in most countries across the world and, is as high as 80-90%, in some countries. Furthermore, in all countries for which data are available, a steady decrease (>30%) in adult HIV infections between 2000 and 2016 is associated with steady increases and high levels (>60%) of condom use by both men and women at last sex with a non -regular partner and condom use by men at last paid sex.

However, 30 years into the response to HIV and despite increased use of condoms over the past three decades, condom availability and use gaps remain, in particular in sub-Saharan Africa where the gap between availably and need is estimated to be more than 3 billion condoms. The estimated condom need in 47 countries in sub-Saharan Africa in 2015 was 6 billion male condoms; however, only an estimated 2.7 billion condoms were distributed.

Participants highlighted the many barriers and inequities hindering access to, and the use of, condoms that continue to exist, including poor access, age restrictions, gender norms, religious norms, stigma, insufficient supply and, in some places, laws that make it an offence to carry condoms. Many countries also prohibit condom promotion and distribution in schools and other venues where adolescents socialize. According to participants, of the 100 countries that reported having a national plan or strategy related to condoms in 2017, only 26 reported that the plan included condom promotion in secondary schools.

International funding for condom procurement in sub-Saharan Africa has decreased in recent years, and domestic funding has not sufficiently increased, participants noted. In several countries condom programming, in particular condom promotion and demand creation, has stalled due to lack of funding and decreased investment.

During the session, participants stressed the need for a new generation of comprehensive, data-driven and people-centred condom programmes as part of the delivery of combination HIV prevention and sexual and reproductive health services for people at higher risk of HIV, STIs and unintended pregnancies.

These new programmes should aim at strengthening demand for and supply of condoms and water-based lubricant and address the barriers and inequities that hinder demand, provision, access and use of condoms by young people, key populations and other people at higher risk. Furthermore, condom promotion and distribution strategies and approaches need to be informed by data, tailored to the context and needs of different communities.

Lastly, participants agreed on the need to set-up effective multi-stakeholder condom programming coordination and oversight platforms and ensure full involvement of beneficiaries and communities in planning, service delivery and monitoring.

 

Quotes

We need to recapture lost ground, that means do business not as usual”

Bernard Haufiku Minister of Health and Social Services, Namibia

There is a condom crisis at the centre of the prevention crisis. We are missing a cost-effective opportunity to maximise the contribution of condoms to reducing HIV infections, STIs and unintended pregnancies”

Henk Van Renterghem UNAIDS Senior Advisor, Fast-Track country support

"For every new generation of young people we need to renew our efforts in promoting condoms to ensure young people can enjoy sex and b free from HIV, STIs and unintended pregnancy"

Daniel Nagel Youth against AIDS

 Not even for a million euros I would accept to do it with a client without a condom”

Foxxy Angel Sex worker – Amsterdam redlight district (requoted by Henk Van Renterghem)

 

嵐過ぎて 西日ヒグラシ 百日紅

 台風一過のそのまた次の日ではありますが、ここ鎌倉にも猛暑が戻ってまいりました。

 

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 材木座から見上げる夏空。

 鎌倉には来迎寺が西御門と材木座の二カ所にあります。どちらも時宗ですが、別々のお寺です。

 

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  こちらは材木座の来迎寺。裏の山からはもうヒグラシの声(というか羽音というか)がシャワーのように降り注いでいます。もうすぐ秋だなあ・・・と錯覚しそうですが、まだ7月ですね。 

 

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 材木座・来迎寺の本堂裏に約100基の五輪の塔。「三浦大介公家来之墓」という案内板があります。三浦大介義明は源頼朝の挙兵に呼応して自らも兵をあげ、三浦半島の衣笠城で戦死した武将です。いずれ頼朝を助ける日が来るだろうということで、一族を城から逃れさせ、ひとり城を枕に討死したという強者です。

 

 

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 五輪の塔の脇では百日紅が見事な花を咲かせていました。

報告は減っているけれど 東京都エイズ通信第131号(2018年7月号) 

メルマガ東京都エイズ通信の第131号(20187月号)が727日に発行されました。今年に入ってから725日までの新規HIV感染者・エイズ患者の報告数が掲載されています。

https://archives.mag2.com/0001002629/

   ◇

平成3011日から平成30725日までの感染者報告数(東京都)

  ( )は昨年同時期の報告数

 

HIV感染者      189件  (210件)

エイズ患者         36件  ( 53件)

合計                225件  (263件)

    ◇

昨年同時期と比べるとかなり下回っています。実際の感染も減っているのか、それとも関心の低下から検査で感染が分かる人の数が減っているのか。両方の要素が関係しているのかもしれません。

平成30年度のエイズ・ボランティア講習会は4回開催される予定で、その第1回が82日(木)にあります。申し込みの締め切りはもう過ぎていますが、「事前にお申込みが無くとも、当日参加できます」ということです。定員60人ですが、あまり申し込みが来ていないのかなあ。ちょっとつらい。

 

『刑法とHIV科学に関する専門家合意声明』 エイズと社会ウェブ版342

 HIV/エイズ分野の世界的な研究者らが725日、HIV感染を犯罪として扱う法律や法執行に反対するコンセンサス(合意)声明を発表しました。HIV非開示(例えば性行為などの際に相手に自らの感染を伝えないこと)、曝露、感染といった行為をそれだけで犯罪とみなす法律や政策に対し、『HIVに対する刑法の過剰かつ不適切な適用は依然として世界に憂慮すべき事態をもたらしている』と強く警告しています。

 声明は国際エイズ学会誌(JIAS)にアブストラクト(要旨)と全文が掲載されています

 

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 また、アムステルダムの第22回国際エイズ会議(AIDS2018)の会場では725日午後、記者会見が行われ、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトにはプレスリリースが掲載されています。

 そのプレスリリースによると、声明はUNAIDS、国際エイズケア提供者協会(IAPAC)、国際エイズ学会(IAS)が招集したHIV/エイズ科学分野の専門家20人がまとめ、査読を経て発表されました。ほかに70人の研究者が合意の署名を行っているということです。

 声明は「HIV感染と治療の効果について、現時点で得られる最善の科学的エビデンスに基づき」次のように指摘しています。

 

・仮に少量の血液が唾液にまじっていたとしても、噛みついたり唾を吐いたりすることでHIVが唾液から感染するリスクはない。

・セックスの際にコンドームを正確に使用するか、HIV陽性者の血液中のウイルス量が検出限界以下なら、感染のリスクはない、または無視できるものである。

 ・効果的な抗レトロウイルス治療、ウイルス量の抑制、曝露前予防服薬(HIV曝露の可能性があるときに、HIV陰性の人が事前に抗レトロウイルス薬を服用しておくこと)などはすべてHIV感染の可能性を大きく減らすことになる。

 

 基本的には、治療の進歩でHIV感染は予防できるのだから、HIV陽性者を感染しているという理由で犯罪者として扱うことはおかしいということでしょうか。したがって、刑事訴追や判決に当たっては最新のエビデンスを十分に踏まえて判断してほしいと求めています。

 これはその通りであり、世界的でも専門的な研究者でもない私のような者でも十分に合意できます。

 ただし、あえて憎まれ口を叩けば、HIV感染を犯罪として扱うことに対しては、治療が進歩したから「不当」になったわけではありません。感染の恐怖と不安が社会を覆い、治療に関して医師はなすすべがなく、身の回りでHIVに感染している人が相次いで亡くなっていった。そんな時期にすでに「HIVを犯罪として扱うのはおかしい」という声がまさにHIVに感染した人たちやその周囲の人たちからあがり、それが次第に広がって世界の共通認識になっていきました。

HIV/エイズの流行の最も厳しい試練の中で得られたこの貴重な経験を忘れて、「治療を受ければ長く生きていくことができるし、治療すれば予防もできるから」といったことのみが強調されていくとしたらどうでしょうか。

仮定の話で恐縮ですが、例えば、そう遠くない将来に未知の感染症の流行に直面するといった事態に再び遭遇したらどうなるのでしょうか。

HIV陽性者を犯罪者とみなすことは、治療が進歩したから不当になったのではなく、それ以前からずっと不当だった。そのくらいのことは、少なくとも日本国内では、司法の現場だけでなく、医療現場の方たちにも、いま現在進行形でお伝えしておいた方がよさそうですね。

以下、UNAIDSプレスリリースの日本語仮訳です。 

 

    ◇

 

HIV関連の刑事事案への法適用は科学的知識をしっかり踏まえて判断することを司法警察システムに要請 世界の専門家が合意声明

 HIV曝露や感染リスクのないHIV陽性者に対する刑事訴追事案が科学者に声明発表を促し、司法警察システムがHIV非開示、曝露、感染に関する刑事訴追は科学的知識を踏まえて行うよう強く求めている

 http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2018/july/science-application-law-criminal-cases-hiv

 

アムステルダム 2018725日 HIV科学分野の世界的な専門家20人が、科学的な合意文書をコンセンサス声明(合意声明)として発表した。各国政府および法律、司法分野で働く人たちに対し、HIV科学分野の大きな進歩に注意をはらい、HIV関連事案の法執行に反映させるよう求めている。

 「ここ数年の科学的成果により、各国はエビデンスを踏まえたHIV対策の策定が可能になっています」と国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長は語る。「あらゆる科学的成果を活用し、正当な判断を下す必要があります。いかなる人も、司法システムがHIV感染のリスクに関する情報や理解を欠いているために罪に問われるようなことがあってはなりません」

 UNAIDS、国際エイズケア提供者協会(IAPAC)、国際エイズ学会(IAS)が招集した科学分野の専門家グループは、HIV陽性者に対する刑法の過剰かつ不適切な適用は依然として世界に憂慮すべき事態をもたらしていると警告している。約73カ国がHIV非開示、曝露、感染を犯罪とする法律を有し、39カ国は同様のケースを他の法規の条項で犯罪として扱っている。

 「これらの法律の多くは、コンドーム使用などHIVの感染可能性を下げる手段を考慮せず、抗レトロウイルス治療や曝露前予防服薬の予防効果が示される以前に制定されています」とIAPACのホセ・M・ズニガ理事長はいう。「自らの感染を知ったHIV陽性者のほとんどは、他の人にHIVが感染しないよう対策をとっています。したがってHIVの非開示、曝露、感染をそれはだけで犯罪とみなす法律は、HIV関連のスティグマを悪化させ、HIVサービスの利用を妨げることになるだけです」

 ほとんどの刑事訴追は、性行為によるHIV感染のリスクとみなされてきたものに対してなされている。かみついたり、唾を吐いたり、ひっかいたりといった行為が対象になることもある。刑事訴追や有罪判決は、感染の可能性に関する知識が欠如し、特定の科学的エビデンスを極端に拡大解釈していることがしばしばある。HIV治療と予防は大きく進歩しているのに、いまも社会に根深く残るHIV関連のスティグマや不安の影響を受けていることが多いのだ。

 不公正な刑事訴追をなくすための市民社会キャンペーン連合であるHIVジャスティス・ワールドワイドの運営委員会を代表して、HIVジャスティス・ネットワークのサリー・キャメロン上級政策アナリストは「関連分野の世界的専門家による合意声明を支持します」と語る。「HIV陽性者に対し不当な刑事訴追を行い、厳罰を科そうとするHIV犯罪化の傾向は世界的に広がりつつある現象です。今回の歓迎すべき声明は、HIVに関する最新の科学的な理解が、基本的人権および法の原則と同様、こうした司法の誤用を支持するものではないことを示しています」

 査読を経た今回の合意声明は、世界からさらに70人の科学者の支持を得たうえで、国際エイズ学会誌(JIAS)で本日、発表された。刑法の観点からの理解を深められるよう、様々な状況におけるHIV感染の可能性、HIV感染の長期的な影響、HIV感染を証明する手段などについて説明している。

 声明はHIV感染と治療の効果について、現時点で得られる最善の科学的エビデンスに基づき次のように指摘している。

仮に少量の血液が唾液にまじっていたとしても、噛みついたり唾を吐いたりすることでHIVが唾液から感染するリスクはない。

セックスの際にコンドームを正確に使用するか、HIV陽性者の血液中のウイルス量が検出限界以下なら、感染のリスクはない、または無視できるものである。

 さらに、効果的な抗レトロウイルス治療、ウイルス量の抑制、曝露前予防服薬(HIV曝露の可能性があるときに、HIV陰性の人が事前に抗レトロウイルス薬を服用しておくこと)などはすべてHIV感染の可能性を大きく減らすことになる。

 刑法におけるHIV感染に関する国際ガイダンス(手引き)は「HIV感染に関する因果関係の証明は常に、医療記録、厳格な科学的方法、セックス歴を含む多数の関連情報源から得られたエビデンスに基づいて行うべきである」(HIV非開示、曝露、感染に関する過剰な犯罪化を止める:科学的、医学的、法的な検討の重要性)と勧告している。

http://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/20130530_Guidance_Ending_Criminalisation_0.pdf

 

 専門家らは、刑事訴追を検討する際には、最新の科学的エビデンスに基づく周到なHIVリスクと被害の評価を含め、より注意深く判断する必要があることを強く勧告している。合意声明は、政策立案者、検察官、法廷が最新の科学的成果を踏まえること、その結果、刑法の誤用を避けられるようにする助けになることを期待している。それはすでに世界中の多くの国で起きていることでもある。

 

 

 

Leading experts call on the criminal justice system to ensure science informs the application of the law in criminal cases related to HIV

Prosecutions of people living with HIV for acts that pose no risk of HIV exposure or transmission prompt scientists to issue a statement urging the criminal justice system to use science when considering prosecution of HIV non-disclosure, exposure or transmission

 

AMSTERDAM/GENEVA, 25 July 2018—A group of 20 leading HIV scientists from around the world have issued a scientific consensus statement urging governments and people working in the legal and justice systems to pay close attention to the significant advances in HIV science to ensure that science informs the application of criminal law in cases related to HIV.

 Science has greatly advanced in recent years which has been critical in allowing countries to make evidence informed decisions in their HIV programming,” said Michel Sidibé, Executive Director of UNAIDS. “With all the new scientific advances now available we need to continue to use science as evidence to deliver justice. No one should face criminalization because of a lack of information or understanding by the justice system about the risks of HIV transmission.”

The expert group of scientists, convened by UNAIDS, the International Association of Providers of AIDS Care (IAPAC) and the International AIDS Society, warn that an overly broad and inappropriate application of criminal law against people living with HIV remains a serious concern across the globe. Around 73 countries have laws that criminalize HIV non-disclosure, exposure or transmission, and 39 countries have applied other criminal law provisions in similar cases.

Many of these laws do not take into account measures that reduce HIV transmissibility, including condom use, and were enacted well before the preventive benefit of antiretroviral therapy or pre-exposure prophylaxis was fully characterized,” said José M. Zuniga, IAPAC President and Chief Executive Officer. “Most people living with HIV who know their status take steps to prevent transmitting HIV to others. Laws that specifically criminalize HIV non-disclosure, exposure, or transmission thus primarily exacerbate HIV-related stigma and decrease HIV service uptake.”

Most prosecutions have occurred based on perceived risk of HIV transmission through sexual activity. Some have also occurred for biting, spitting or even scratching. Prosecutions, and convictions, have often been influenced by a lack of knowledge or appreciation of scientific evidence regarding the possibility of transmission of the virus. In many instances, they have been influenced by deep-rooted stigma and fear associated with HIV, which still exists despite the huge advances in HIV treatment and prevention.

 We support this globally relevant expert consensus statement, for which we have been long-time advocates,” said HIV Justice Network’s Senior Policy Analyst Sally Cameron, on behalf of the Steering Committee of HIV Justice Worldwide, a global civil society coalition campaigning to end unjust prosecutions. “HIV criminalization is a growing global phenomenon that unfairly targets people living with HIV through criminal prosecutions and harsh penalties. This welcome statement makes the case that our current understanding of HIV science, alongside key human rights and legal principles, does not support this miscarriage of justice.”

The peer-reviewed consensus statement, endorsed by 70 additional scientists from around the world, was released today in the Journal of the International AIDS Society. It describes scientific evidence on the possibility of HIV transmission under various circumstances, the long-term impact of HIV infection and the means of proving HIV transmission so that it is better understood in criminal law contexts.

Based on a detailed analysis of the best available scientific evidence on HIV transmission and treatment effectiveness, the statement notes that there is no possibility of HIV transmission through saliva as a result of biting or spitting, even where saliva contains small quantities of blood. There is no to negligible possibility of HIV transmission where a condom is used correctly during sex, or where a partner living with HIV has an undetectable viral load.

In addition, effective antiretroviral therapy, low viral load, the use of pre-exposure prophylaxis (antiretroviral drugs taken by an HIV-negative person before a possible exposure), or post-exposure prophylaxis (antiretroviral medicines taken after a possible exposure) all significantly reduce the possibility of HIV transmission.

International guidance on HIV in the context of the criminal law recommends that “proof of causation, in relation to HIV transmission, should always be based on evidence derived from a number of relevant sources, including medical records, rigorous scientific methods and sexual history” (Ending overly broad criminalization of HIV non-disclosure, exposure and transmission: critical scientific, medical and legal considerations).

The experts recommend strongly that more caution be exercised when considering criminal prosecution, including careful appraisal of current scientific evidence on HIV risk and harms. The consensus statement is expected to help policymakers, prosecutors and courts be guided by the best available science and thereby avoid the misuse of the criminal law, as is currently happening in many countries worldwide.

Read the full Expert Consensus Statement on the Science of HIV in the Context of Criminal Law.